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株式会社山形環境エンジニアリング

社員の成長と会社の成長が循環する風土づくり
「教育体系の整備と対話を通じて、学びを活躍と定着につなげる」

株式会社山形環境エンジニアリング

活用テーマセルフ・キャリアドック

所在地山形県寒河江市高田三丁目110番地の1

業種電気・ガス・熱供給・水道業

設立昭和49年12月

従業員120名

導入の経緯

人材の定着と資格取得の伸び悩みから始まったキャリア支援の模索

 当社は上・下水道施設、衛生管理事業、環境管理事業、電気保安事業、各種建設工事業など、生活を支えるライフラインの維持管理を中心に事業を展開しています。人々の生活の基盤となる施設を安心・安全に維持するためには、専門性の高い技術と資格が求められます。業務に必要な国家資格等には、実務経験3年以上、5年以上など、一定の経験年数がなければ取得できないものも多く、長く働きながら技術や知識を身につけていくことが重要になります。

 しかし、入社3年以内の離職が多く課題となっていました。専門性の高い当社の業務では、新たに人材を採用しても一人前に育たなければ現場を任せられる人材とはならず、育成半ばでの離職が続くことで教育負担ばかり大きくなり、業務に支障が出ている部署もありました。離職の背景に、業務上の悩みや将来への不安を一人で抱え、職場で孤立・孤独を感じている社員がいるのではないか、上司や同僚とのコミュニケーションに課題があるのではないかと考えていました。

 また、資格取得数の伸び悩みも課題でした。かつては、資格を取得すると毎月の給与に資格手当が上乗せされる制度があり、それを励みに資格取得に挑戦する社員もいました。しかし、会社から言われたから、あるいは手当がもらえるから資格を目指すのではなく、自分の業務に直結する知識や技術を学び、仕事へのモチベーションを高める機会として資格取得を捉えてほしいという思いがありました。そこで、平成28年に毎月の資格手当を原則廃止し、合格時の報奨金支給へと制度を変更しましたが、予想に反して、制度変更をきっかけに、一部社員からは「頑張る理由が分からなくなった」という声も聞かれるようになりました。その後、社員のモチベーションや事業方針を踏まえ、令和6年には難易度の高い一部の資格について毎月の資格手当を復活させ、同時に会社が指定する重点資格については試験の受験料や合格に向けた講習等の費用を会社が負担する手厚い支援制度へと再改定を行いました。資格がなければ仕様書で定められた業務を受託できないケースもあり、会社としては難関資格への挑戦を後押ししたい一方で、社員自身の業務への関心やキャリア形成に対する思いとの間にギャップがあることを感じていました。

 そうした中、総務担当者が国家資格キャリアコンサルタントの学習を通じて、キャリア形成・リスキリング推進事業の存在を知りました。会社が求める資格や役割と、社員自身のキャリアを結びつけて考える機会を設けることで、資格取得を「やらされるもの」と捉えるのではなく、自分の成長や将来の働き方と関連づけて考えられるようになるのではないかと思い、セルフ・キャリアドックを導入することを決めました。

取組内容と効果

セルフ・キャリアドックの面談で見えた「本音」と活躍の場づくり

 本事業のセルフ・キャリアドック導入支援では、中途入社の社員を含めた入社3年以内の一般社員13名と、課長職10名を対象に、キャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。会社が求める役割や資格と個人のキャリアを結びつけることをテーマに、社員が自身の将来像を思い描き、言語化できる機会を設けました。

 キャリアセミナーでは、人生100年時代といわれる中、社会や仕事を取り巻く環境が変化し続けていることを踏まえ、今の仕事や会社がこの先も同じように続くとは限らないという視点から、自分自身のキャリアを見つめ直しました。これまでの経験や人生を振り返りながら、自分の強みや弱み、現在の思いを整理するとともに、WILL(やりたいこと)、CAN(できること)、MUST(求められていること)の観点から、これからの働き方やキャリアについて考えました。続くキャリアコンサルティングでは、キャリアセミナーで整理した内容をもとに、自分の考えや気持ちを言葉にしながら、今後の働き方やキャリアについて対話しました。

 実施前には、一体なんのためのセミナーなのだろう、面談では何を聞かれるのだろうといった声も聞かれました。しかし、受講後のアンケートでは、96%が「大変有益」「まあまあ有益」と回答しました。これまでの経験や知識を整理できた、自分のキャリアを考えて話すことで新しい気づきがあった、考え方の選択肢が増えたといった感想が寄せられました。ある受講者の上司からは、業務に向き合う姿勢が変わったという報告もありました。自分のキャリアについて考えることが、仕事に対する考え方や向き合い方の変化、スキルアップの必要性に気づく機会につながったのではないかと感じています。

 これらの取組を通じて、社員が日々どのような思いを抱えて働いているのかが可視化され、管理職と若手社員の双方に、コミュニケーションや育成に関する課題があることも明らかになりました。管理職からはどうやって教えたらいいかわからないという声があり、若手社員からはわからないことを聞きたいけど、聞きづらいという意見が寄せられ、双方の課題が重なっていることが分かりました。

 こうした気づきを通じて、会社が求める役割と社員自身の思いをすり合わせ、一人ひとりの成長を支える仕組みを整える必要性を認識しました。そこで、会社は社員の成長を支援し、社員は会社に貢献するという相互の思いが循環する組織風土を築く方針を掲げ、階層別研修、技術研修(OJT)、キャリア研修の3つに整理し、研修体系図を新たに作成しました。

 さらに、研修体系と資格取得計画を事業計画と併せて全社員に周知し、毎年、誰がどの研修や資格に挑戦するのかを示すことで、社員が自分に求められる役割を把握し、今後の成長イメージを描きやすい環境づくりを始めました。これらの取組は、令和8年1月から運用を開始しています。

 管理職と若手社員のコミュニケーションの課題に対しては、コミュニケーションをテーマにした社内研修を実施し、両者へ働きかけました。その結果、互いに歩み寄ろうとする姿勢が生まれました。若手社員からは、上司の指導の仕方が変わったことや、コミュニケーションを変えようと意識してくれていることが伝わってきたといった感想が寄せられています。また管理職からは、若手社員への関わり方について、まずは部下の話を聞きたいという意識の変化が聞かれたほか、メンター制度の導入など、離職防止に向けた具体的な取組を考える動きも見られました。

 あわせて当社独自の取組として、キャリアコンサルタントの資格を持つ人事担当者による「定着支援面談」を開始しました。対象は新入社員、中途入社社員、部署異動者です。入社動機や現在の状況、困りごとなどを丁寧に聞き取ることで、早期離職につながる兆候を早い段階で把握し、必要な支援につなげることを目指しています。

 面談を通じて、異動先で受け入れられていると感じられることの重要性や、本人の強みを発揮できる環境との相性にも目を向ける必要があることが分かりました。実際に、業務に馴染めず悩みを抱えていた社員について、面談で本人の思いを聞き取り、上司とも相談の上、部署異動を実施しました。異動先では業務内容との相性がよく、本人は自信を取り戻し、いきいきと働けるようになりました。この経験からも、一人ひとりの特性や思いを理解し、強みを発揮できる環境をともに見つけていくことが、定着や活躍につながると実感しています。

 研修体系の整備と定着支援面談の導入により、社員一人ひとりを会社として育てていくというメッセージが伝わり、社員の声を受け止める体制も整ってきました。部署単位でも相談しやすい雰囲気づくりの重要性に気づく動きが見られるなど、組織全体で社員が働きやすく、成長できる環境づくりに向けたコミュニケーション改善への意識が確実に広がっていることを実感しています。

今後の取組

学びを行動に変え、多様な人材が活躍できる会社へ

 当社が目指すのは、現場で働く人、事務や支援を担う人など、多様な役割を持つ社員一人ひとりが尊重され、それぞれの持ち場で力を発揮できる会社です。会社には、社員一人ひとりの特性に目を向けて理解を深め、その人が活躍できる場を見出していく役割があると考えています。一人ひとりが異なる強みを発揮し、それぞれの力を持ち寄ることで、社会や環境の変化によって生まれるこれまで想定していなかったような課題にも、組織として柔軟に対応できるようになります。

 そのためには、会社が社員を理解するだけでなく、社員自身が自分の経験や強み、これからの希望を見つめ、自分にどのような役割や可能性があるのかを考える機会も必要です。会社は社員の成長を支援し、社員は会社に貢献するという相互の思いが循環する風土を、研修体系の運用や定着支援面談を通じて、少しずつ形にしていきたいと考えています。

 具体的には、社内のキャリアコンサルタントによる定着支援面談に加えて、今年度から社外のキャリアコンサルタントとも契約を開始し、社内・社外の両面から社員一人ひとりのキャリア形成を支援していきます。今後は、節目ごとに定期的なキャリア研修とキャリアコンサルティングの機会を設け、その都度、自分の目標を言語化してもらうことで、社員が自分の選んだ道をどう歩むかを主体的に考え、決定できるよう支援していきます。

 こうした取組を通じて、社員の思いと会社の方向性が重なり、人材の定着と資格取得の課題を同時に解決することで、インフラを支える現場で長く活躍してもらえる人材を育てていきます。

 一方で、取組の効果はすぐに見えにくいため、長期的な視点で捉えることが必要です。また、社員に取組の意義や必要性を理解してもらうことも重要な課題です。そのため、面談実施件数や満足度といった短期的な指標に加え、平均勤続年数や資格取得状況などの中長期的な指標も設定し、取組の成果を可視化していきます。

 会社として社員の成長を支援するというメッセージを継続的に発信しながら、キャリア形成の機会を提供し、取組のさらなる定着と改善につなげていきたいと考えています。社員一人ひとりのキャリアの充実と会社の成長がともに実現する組織づくりを、今後も目指していきます。

株式会社青森みちのく銀行

キャリア自律を体系的に推進、「自ら切り拓くキャリア」へ

佐藤繊維株式会社

従業員が自ら選んだ職種に自信を持って仕事に向き合い、長く活躍してもらいたい

社会福祉法人峰陽会 あずま保育園
幸洋汽船株式会社

人材育成と組織づくりで、乗組員一人ひとりの人生を豊かにしたい

萩原工業株式会社
株式会社コヤマ・システム

セルフ・キャリアドックを起点に、従業員が自分の将来像を描いて実現できるようキャリアパスの明確化を進める

株式会社メタルテック

社員一人ひとりが将来を描ける仕組みづくりとキャリア支援

株式会社クリオネ
日幸ライト工業株式会社

キャリア形成支援を「人を育てる組織文化」へつなげるセルフ・キャリアドックの取組み

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