日幸ライト工業株式会社
キャリア形成支援を「人を育てる組織文化」へつなげるセルフ・キャリアドックの取組み
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地愛知県常滑市久米字西仲根185
業種製造業
設立昭和37年3月
従業員373名
導入の経緯
社員の離職が、マネジメントスタイルや面談のあり方を見直すきっかけに
当社は愛知県常滑市に本社を構え、自動車・精密機械等のプラスチック電装品製造を行う、社員数373名の会社です。現在は社員の約7割、管理職の半数以上が中途入社となっており、背景の異なる多様な社員で構成されています。そうした背景もあり、社員の育成や評価面談の進め方などマネジメントスタイルが統一されておらず、それぞれの管理職による自己流で進められがちな傾向がありました。
そのような中、令和4年度、令和5年度と離職者が急激に増加し、社員の離職が大きな課題となってきました。退職者と面談を行ったところ、コミュニケーション不足による勘違いやすれ違いなどが多く、上司と部下の関係性に問題があることがわかってきました。「もっと早く本人の思いや悩みに気づいていれば、離職を防げたのではないか」「部下を育てる意識を育てなければ」という反省が、セルフ・キャリアドックを導入し、社員のキャリア形成支援に取り組む大きなきっかけとなりました。
取組内容と効果
役員・管理職への面談を起点に、自己理解と人を育てる意識を醸成
まず取り組んだのは、面談の質向上です。単に評価結果を伝え、部下へ業務指示を与える場ではなく、部下の話に積極的に耳を傾けながら、部下のキャリアを上司が一緒に考える面談にしたいと考えました。そこで、管理職自身がプロのキャリアコンサルタントによる面談を体験することで、自己理解を深め、自身のマネジメントスタイルを見つめ直す機会を提供したいと考えました。令和6年7月、本事業によるセルフ・キャリアドック導入支援として、社長以下役員・管理職25名を対象に、ガイダンスセミナーとキャリアコンサルティングを実施頂きました。
ガイダンスセミナーでは、キャリア形成の基本的な考え方やセルフ・キャリアドックの目的を共有し、自分のキャリアを振り返る意義や、部下のキャリア支援における面談の役割について理解を深めました。そのうえで、社長以下、役員・管理職全員がキャリアコンサルティングを受け、これまでの経験を棚卸しし、今後の目標設定を行いました。
アンケートは、満足度が100%、「自分の強みや弱みが明確になった」「仕事に対するモヤモヤが整理され、やるべきことが見えた」といった声が寄せられました。管理職自身が、日々の業務に追われる中、自分の気持ちを言語化し、今後の方向性を考える時間を持てたことでモチベーション向上につながったようです。
さらに管理職のマネジメントスタイルにも変化が生まれ始めています。自分自身のキャリアだけでなく、部下のキャリアを考える必要性があるという意識が管理職層に芽生え、部下の話を否定せず受けとめて最後まで聴こうという姿勢が生まれ、離職や人間関係の課題を早期に察知する機会になってきています。
面談が、単に評価を伝え業務指示を与える場から、上司が部下に寄り添いながら今後のキャリアを一緒に描く場へと、その目的が変わってきました。
今では、キャリア形成支援は社員の満足度を高めるだけでなく、組織改革の推進力にもなるという認識が経営層にも浸透、令和7年度には当社独自の取組として、課長職を対象にキャリアコンサルティングを始め、また新卒内定者向けにキャリア研修を企画するなど、会社全体にキャリア形成支援の取組が広がってきています。
今後の取組
社員のキャリア形成支援で、社員が自律的にキャリアを考えられる組織風土をつくる
当社ではキャリア形成支援を一時的な施策ではなく、組織改革のための推進力として長期的に位置づけ、令和8年度以降は、ライフステージに応じたキャリア形成支援を構想しています。
新卒採用者には入社時にキャリア研修を行い、仕事への向き合い方や意欲の向上を促すことで、早期離職防止と職場定着につなげていきたいと考えています。
中堅社員にはキャリアを振り返り、今後の役割や成長の方向性を再構成する機会を、55歳以降のシニア社員にはセカンドキャリアを視野に入れた目標再設定の支援を行いたいと考えています。さらに育児や介護などで休業する社員には、仕事と家庭の両立課題を整理し、復帰後の働き方を一緒に考える場を設けることで、スムーズな職場復帰を支援していく予定です。
これからもセルフ・キャリアドックの取組を継続し、離職防止やコミュニケーション課題の改善だけでなく、社員のキャリア形成支援を通じて、社員一人ひとりが自律的にキャリアを考えられる組織風土を築くことが当社の目標です。
