株式会社金太
ゼロからのキャリアセミナーで、従業員が前向きに動き出す
活用テーマジョブ・カード活用
所在地石川県金沢市泉本町5-61
業種鉄鋼販売、鉄鋼材加工、建築・土木業
設立昭和24年5月
従業員230名
導入の経緯
従業員の育成を管理職個人や部署に委ねている現状を変えたい
当社は明治40年創業、昭和24年に設立した鉄鋼商社です。北陸を中心に、鋼材や金属加工機械、土木資材の販売に加え、鋼材加工や建築・土木工事の施工管理まで手がけ、地域のモノづくりとまちづくりを支えてきました。鉄鋼部、鉄鋼機械部、建築開発部、土木開発部の4つの営業部門を軸に、倉庫・工場を含め約230名の従業員が働いています。
長く安心して働いてもらいたいという思いが強く、従業員が成長できる会社風土や、お客様との信頼関係を重視してきましたが、体系的な研修制度が根付いておらず、スキルアップや仕事への意識向上は部署や従業員の自主性に委ねている面がありました。また、部下の指導に積極的に取り組む管理職と部下の指導よりも自身の業務優先な管理職とで差が生じ、会社全体として管理職に期待される役割をそろえる必要性を感じていました。
加えて、通常業務を優先するあまり、社員のスキルアップのための環境整備が後回しになっていたことも課題で、従業員一人ひとりが自らのキャリアに興味と責任を持てるようにすることが重要だと強く感じていました。
そんな中、石川キャリア形成・リスキリング支援センターから連絡をいただき、キャリア形成・リスキリング推進事業の存在を初めて知りました。表面的なスキルではなく「これまでの自分と向き合い、これからの自分を描く」内面に働きかける内容が当社の課題と合致しており、管理職がキャリア形成について考えることが部下との面談力向上にもつながると思えたため、支援を受けることを決めました。
取組内容と効果
管理職・中堅層へのキャリア支援で、学びに対する意欲的な行動が生まれる
ジョブ・カードを活用したセミナーとキャリアコンサルティングを実施し、会社の中心的な役割を担う管理職約20名、中堅層約20名を対象にしました。特に中堅層は、部下や後輩の相談に乗り、会社の方針を伝える立場でありながら、自身もプレイヤーとして忙しい時期であるため、この層が自身のキャリアを整理して、部下や後輩のスキルアップを支援する役割を自覚することは今後の組織運営に不可欠だと考えました。
まず、研修やセミナーに慣れていない従業員も多かったため、セミナーの実施を従業員に案内する際に「研修=難しくて堅苦しいもの」というイメージを和らげることに力を入れました。「なぜ実施するのか」「どのような内容か」ということ、グループワークや対話中心であることをセミナーの案内メールに詳しく記載し、不安をできるだけ取り除くよう配慮しました。そうした説明に加えて、緊急のクレーム対応以外は参加を優先してほしいという会社としてのメッセージを人事部長から出したことで、会社の「本気度」が現場に伝わったのではないかと思います。
セミナーでは、面談が苦手などという理由で部下の育成に後ろ向きな管理職が、部下育成に取り組むきっかけになるように、普段は「相談される側」である立場の従業員が「相談する側」を体験するプログラムを実施しました。それをすることで、相談する側がどういう気持ちなのか、どういう風に話を聞いてもらえると相談をしやすいか、を体感することで、部下育成の勘所を知ってもらいます。
また、ジョブ・カードを用いて自分のキャリアを棚卸しし、講義だけではなくグループワークを通じて仕事観や価値観を話し合う場を設け、その後キャリアコンサルティングを受ける流れにしました。受講者からは「共感しながらしっかり話を聞いてもらえた」「自分にはない視点の質問を受けることで、自己理解が深まった」「これまで見えていなかった自分の将来像に気づくことができた」といった声があがり、今回の体験が部下の育成や面談に向けたヒントになったのではないかと感じています。
セミナー実施後、中堅層から大きな変化が表れました。「もっと研修を企画してほしい」という要望が出てきたのです。後輩の指導法やハラスメント防止の研修といった具体的な提案があり、学ぶことに対して意欲的になったと感じています。
また、従業員同士の会話の中に「研修で何を学んだか」「どんな気付きがあったか」といった話題が増え、キャリアや育成をテーマにしたポジティブな対話が生まれつつあります。
さらに、セミナーに参加し、キャリアコンサルティングを受けた人事担当者は、キャリアコンサルティングの有用性や、社内でキャリアコンサルティングを受けられる場があることの意義を強く認識したようです。その結果、人事担当者はキャリアコンサルタント資格に見事合格し、社内でキャリアコンサルティングを受けられる体制ができました。また、新入社員には入社後1年間、メンターを付ける制度も始めて、従業員がキャリアについて相談できる制度が整いつつあります。
今後の取組
キャリア形成支援の継続で「従業員満足度の高い会社」へ
今後は、従業員全員が自分のキャリア形成に前向きに取り組み、その内容を上司や同僚、経営陣と共有することによって、安心して長く働ける職場づくりを進めていきたいと考えています。転職が当たり前の時代ですが、「社会人としても一人の人間としても成長できる、転職する理由が見つからない会社」を目指したいと思っています。
そのために、全従業員が年1回、社内キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受けられる制度づくりに取り組みます。従業員の資格取得を会社として支援し、徐々に社内キャリアコンサルタントを増やして、キャリア研修と面談を全従業員に行き渡らせる体制を構築します。
本年度は、セルフ・キャリアドック導入支援も受ける予定です。すぐに全てを変えることはできませんが、時代に合った研修や価値観を取り入れながら、従業員満足度の高い会社を目指して、キャリア形成支援を継続していきます。
今回、キャリア形成支援に取り組むことで、従業員が自分のキャリアに興味と責任を持ち、会社が良い方向に変わっていく、という手応えを得ました。少しでも多くの企業が、従業員の主体的なキャリア形成を後押しする取組を検討していただければ嬉しく思います。
