株式会社シティアクセス相模(光ウェルビーイング®グループ)
キャリア支援で仕事と育児の両立を後押し、整骨院の売上が大きく伸長
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地神奈川県厚木市山際252−1
業種複合サービス事業
設立令和6年3月
従業員120名
導入の経緯
厚木発・光ウェルビーイング®グループが向き合った、仕事と家庭の両立とキャリア自律の課題
当グループは、厚木市で昭和29年に創業した光運送株式会社を母体とし、バス運行会社シティアクセス相模を中心に、「スポーツ」と「健康」を柱として、従業員並びにパートナー企業の幸福・心の豊かさを追求する経営を目指しています。「人を大切に」を合言葉に、様々なパートナーとのネットワークづくりを進めています。
グループが掲げる「スポーツ」と「健康」を支える事業の一つが整骨院事業で、現在は3つの整骨院を運営しています。運送業では、腰痛や肩こりなど、身体に負担がかかることも少なくありません。そこで、従業員が気軽に身体のメンテナンスを受けられる福利厚生施設として、また、地域のフィジカルウェルビーイング(身体が健康で、心も満たされ元気に活動できる状態)に貢献する象徴的な存在として、整骨院事業を位置付けています。
そうした中、整骨院事業では、日々の店舗運営や顧客対応に追われ、従業員が自身のキャリアや今後の働き方について立ち止まって考える機会を十分に持てていないことが課題となっていました。また、家庭との両立や将来の働き方に不安を抱える従業員もいました。
整骨院に勤務する従業員の多くは、柔道整復師を中心とした国家資格者であり、患者さまのために尽くしたいという思いを強く持って、現場での仕事に熱心に取り組んでいます。一方で、勤務時間や拘束時間が長くなりやすく、目の前の施術に意識が向きがちで、整骨院を一つの事業として捉え、経営全体を見渡す視点をもつことが難しいという課題もありました。
また、結婚・出産・介護などのライフイベントを機に仕事を離れる人も多く、これまで培ってきた経験や専門性を、その後のキャリアに生かしきれないケースがあることも大きな課題と感じていました。
整骨院経営は、患者さまと施術者の1対1の関わりが重要で、施術者一人ひとりの裁量が経営にも直結します。だからこそ、従業員が自らのキャリアを主体的に捉え、院全体を見ながら仕事に関われるようになることが、重要なテーマでした。
そんな中、グループ全体の経営企画を担当する従業員が、キャリアコンサルタント試験の勉強を通じてキャリア形成・リスキリング支援センターやセルフ・キャリアドックを知りました。従業員のキャリア自律を促し、現場に経営の視点を根付かせるために、セルフ・キャリアドックが有効であると感じたことから、導入支援を活用することになりました。
取組内容と効果
整骨院従業員10名へのキャリア形成支援によって、自律的な働き方と院の運営を考える姿勢へ変化
導入支援を活用し、整骨院事業に携わる10名(院長2名、従業員8名)を対象に、キャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。キャリアセミナーでは、セルフ・キャリアドックの制度説明に加え、ライフラインチャートの作成と共有、やりたいこと・できること・周囲の期待を考えることで自己理解を深めるワークを行い、その後、一人ひとりにキャリアコンサルティングを実施しました。
実施にあたっては、いくつかのハードルがありました。従業員にとって、セルフ・キャリアドックは初めて経験する取組であり、キャリアコンサルティングにもなじみがなかったため、最初は戸惑いや心理的な抵抗もあったようです。そこで、当グループの基本理念や整骨院が担う役割・位置づけを丁寧に説明すると共に、セルフ・キャリアドックが、従業員一人ひとりの今後のキャリア形成を支援するための取組であることを伝えました。導入後も継続して支援していく計画についても説明し、安心して参加してもらえるようにしました。
また、営業時間帯の異なる3つの整骨院に従業員が分散していたため、セミナーに参加できる時間を調整することも課題でした。そのため、複数回に分けてセミナーを実施するなどの工夫を行い、従業員が参加しやすい環境を整えました。
実際にセルフ・キャリアドックを受けた従業員からは、「なかなか自分を客観視する時間も余裕もない中で、抱えていた問題を話すことができてスッキリした」「立ち止まることで、自分がこれからどうしていきたいのかを改めて見つめることができた」といった声も聞かれました。日々の仕事に追われる中では、立ち止まって自分自身のことを考える機会はなかなかありません。キャリアコンサルティングを通じて、自分の思いや悩みを言葉にし、これからの働き方を考える時間を持つことができました。
導入支援終了後は、キャリアコンサルタントの資格を持つ従業員が中心となり、全職員を対象に月1回のキャリア面談を実施する体制を整えました。それ以外にも、本人の希望に応じて随時相談できるようにするなど、セルフ・キャリアドックを一度きりの取組で終わらせず、継続的なキャリア形成支援につなげています。
その中で、具体的な変化も生まれています。セルフ・キャリアドック導入後に、結婚・出産を迎える一人の従業員がいました。仕事への意欲を持ちながらも、育児との両立に不安を抱え、仕事を辞めることも考えているようでした。何度か面談を重ねる中で、仕事は続けたいが、子どもの体調不良など予想外の出来事で患者さまに施術ができず、迷惑をかけたり、院の経営に影響したりするのではないかという不安や苛立ちを感じていることがわかりました。本人の仕事に対する思いを尊重しながら不安に寄り添い、どうすれば仕事と育児を両立できるかを一緒に考えていきました。復帰に向けた前向きな言葉が聞かれるようになったタイミングで、これまでの経験や意欲も踏まえ、「院長という役割を、子育てをしながらやってみないか」と提案しました。本人がじっくり考えた上で、その役割を引き受けることになりました。
この事例をきっかけに、ライフイベントと仕事の両立を個人の努力だけに任せるのではなく、組織として支えることの必要性も見えてきました。そこで、当該職員や今後同様のライフイベントを迎える従業員が、安心して働き続けられるように、環境づくりを進めました。具体的には、3つの整骨院の横連携を強化し、院長同士が相互にバックアップする体制を整えました。例えば、子どもの体調変化などに応じて勤務時間を柔軟に変更できるよう、予約対応を別の院長が代わりに担当したり、夜間や休日の対応についてもお互いに補い合うなど、柔軟にサポートし合える仕組みを構築しました。
こうした環境整備を進めたことで、子育てをしながら院長として職場に復帰することができました。復帰後は、子育てと仕事を両立するための働き方について、本人から具体的な提案が出されるようになりました。その一つが、家庭の事情で子どもを預けられない場合でも安心して働ける環境づくりです。この提案を受け、安全面に配慮したキッズスペースを院内に整備しました。また、SNSを活用したプロモーションや売上計画、人員計画など、院の運営に関する提案も行うようになり、自らの役割を主体的に捉え、組織運営にも積極的に関わる姿勢が見られるようになりました。
さらに、こうした取組を進める中で、周囲の従業員にも変化が見られるようになりました。例えば、受付業務で採用された従業員が、事務作業だけでなく施術側の仕事にも積極的にサポートに入るなど、自分の担当業務にとどまらず、院全体を見ながら、それぞれの立場で支え合おうとする姿が見られるようになりました。
さらに、従業員の発案により、整骨院経営の基本を学ぶための勉強会がスタートしました。これにより自分の仕事と経営のつながりを考える機会が生まれ、患者さまに付加価値を提供しながら売り上げを伸ばすための工夫を、各自が考えるようになりました。例えば、ピラティスを組み合わせた施術など、独自性のある新たなメニューを開発し、チラシやホームページで紹介する取り組みも生まれています。こうした個々の工夫が各院の売上の大幅な伸長につながり、安定した経営基盤の構築に寄与しています。
セルフ・キャリアドックを通じたキャリア形成支援が、個人の意識や行動の変化を促し、個人の成長だけでなく、経営面でも確かな成果を生んだ証だと感じています。
今後の取組
成功事例を軸に、一人ひとりのキャリアの再スタートを支援したい
今後は、今回の整骨院事業での取組を一つの事例として、グループ全体にキャリア自律の考え方を広げていきたいと考えています。
今回、仕事と育児を両立しながら院長としてキャリアを継続する一つのモデルが生まれたことで、ライフイベントを機に働き方を悩む人にとっても、キャリアの選択肢を考えるきっかけになると感じています。出産・育児・介護などを理由にキャリアを離れていた人も積極的に採用し、性別やライフステージに関わらず、自らの想いを実現し、これまでの経験や強みを活かして働き続けられる環境を整えていきたいと考えています。それが、「人を大切に」という合言葉を具体化する自律的な事業活動につながると考えています。
セルフ・キャリアドックは、単にキャリアについて話すための機会ではなく、一人ひとりが自分はどう働きたいのか、仕事を通じて何を実現したいのかを見つめ直し、自らのキャリアを選択していくための土台になるものだと感じています。
今後も、整骨院事業を一つのモデルとしてセルフ・キャリアドックを活用し、多様な人財がそれぞれの生活と仕事を両立し、強みを生かしていきいきと働けるグループづくりを進めていきます。
