株式会社モリタ
キャリアコンサルティングを「当たり前」に
~社員の節目を支えるセルフ・キャリアドックの取組
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地大阪府吹田市垂水町3丁目33-18
業種卸売業、小売業
設立大正5年10月
従業員969名(令和8年3月末現在)
導入の経緯
退職の増加を契機にキャリア支援に取り組む
当社は歯科医療機器等の卸売・小売業を展開しており、営業を中心に多くの社員が現場で忙しく働いています。仕事への誇りが高い一方で、入社から約10年目、20代後半から30代前半の、次期リーダーとして活躍してほしい層の退職が目立った時期がありました。仕事にも慣れ、会社への理解も深まっている年代での退職は大きな課題でした。
人事総務部としては、社員が将来のキャリアを主体的に描きながら働き続けられる環境づくりが必要ではないかと考えるようになりました。従来から35歳や40歳など年齢の節目でライフキャリアデザインセミナーを実施していたものの、研修するだけに留まり、効果を高めるには一人ひとりに踏み込んだフォローが必要ではないか、と感じていました。
こうした課題を受けて、社員に対して何かできることはないかと考えた人事総務部の担当者が、キャリアコンサルタント資格を取得しました。その際に出会ったのが、セルフ・キャリアドックの考え方です。社員一人ひとりが自分のキャリアと向き合い、会社の中にも選択肢があることを知った上で今後のキャリアを判断できる環境を社内に整えたいと考えるようになり、キャリアセミナーとキャリアコンサルティングを組み合わせたセルフ・キャリアドックの仕組みの導入を検討し始めました。その中でキャリア形成・リスキリング支援センターの存在を知り、セルフ・キャリアドック導入支援を受けることにしました。
取組内容と効果
キャリアコンサルティングの実施で、社員が「会社にキャリアの相談ができる」と思えるように
まずは、33〜35歳の正社員48名を対象にキャリアセミナーとキャリアコンサルティングをセットで実施しました。対象者は、新卒入社から数えるとおおむね10年目前後の、次期リーダーとしての活躍が期待される層です。業務の進め方や会社への理解が深まる一方で、ライフイベントが重なり、先のことを考え始めることの多い年代であることから、最初の対象としてこの年齢層を選びました。
実施前は、キャリアコンサルタントという資格への理解が社内に十分浸透しておらず、忙しい営業社員に時間を割いてもらうこともあり、社員の理解を得られるかが大きな不安でした。そのため、対象者の周りの関係者にも目的や内容を丁寧に説明してから開始しました。
キャリアセミナーでは、キャリアについてはこれまでのライフキャリアデザインセミナーで取り扱ってきたので、今回は振り返りの意味、特に言語化することの大切さや、自分と向き合う時間を持つ意義に重点を置きました。その上で、さらに踏み込んだ話は面談で話すことを提案し、キャリアコンサルティングへとつなげました。
実施後に行ったアンケートでは、対象者全員から「面談は有効であった」という回答が得られました。数人はネガティブな意見が出るだろうと想定していたため、結果を見たときには大きな驚きと手応えがありました。また、悩みやモヤモヤを抱えているように見えた社員が、キャリアコンサルティングを受けて以降、前向きに仕事に取り組んでいる姿が見られました。
担当者自身、キャリアコンサルティングを受けて「霧が晴れるような感覚」を体験していたこともあり、社員全員が有効性を感じてくれたことは、キャリアコンサルティングが当社にとって有効な施策であるという確信につながりました。
今回の取組を社内ポータルに掲載して社内に共有したところ、これまでほとんど利用されていなかったキャリア形成相談窓口への相談が増加しました。社員の間に「会社にキャリアの相談ができる場があってよかった」「これからは相談すればいいんだ」という雰囲気が広がり始めたと感じています。
これらの手応えを受けて、当社独自のセルフ・キャリアドックの取組を開始しました。全国の30歳の社員を対象として、ライフキャリアデザインセミナーにキャリアコンサルティング面談を組み合わせ、セミナー実施後2週間以内に面談を実施しました。
支援を受けた際は、外部のキャリアコンサルタントによる面談でしたが、今回は人事総務部の社員であるキャリアコンサルタントが担当するため、社内の人に本音を話してくれるだろうかという懸念がありました。そこで「人事総務部として聞いてほしいか」「キャリアコンサルタントとして聞いてほしいか」「当社のことを詳しく知るキャリアコンサルタントとして聞いてほしいか」と関わり方を選択してもらったところ、多くの社員が「当社のことを詳しく知るキャリアコンサルタント」としての立場を選びました。これを通じて、社員が社内事情を理解したキャリアコンサルタントに話を聞いてもらいたい、自分も話を聞いてみたい、と思っていることが分かり、社内で行うキャリアコンサルティングへの期待の大きさを実感しました。
面談実施後のアンケートでも、否定的な意見はほとんどなく、「面談は効果がある」「必要だと感じた」という声が寄せられました。人事総務部としても、自社で面談を実施する自信が生まれ、今後さらに対象者を広げていきたいという思いが強くなりました。
今後の取組
対象の年齢層を拡大して、セルフ・キャリアドックを当社の標準的な仕組みに
今後は、他の年齢層に対してもライフキャリアデザインセミナーとキャリアコンサルティング面談をセットで組み込んでいく方針です。
すでに40歳向けに実施することが決定しています。40歳の層にはマネージャー職も多く、自身のキャリア相談のみならず、面談を体験することで対話によって得られる効果を実感してもらい、部下への声掛けやコミュニケーションの質の向上にもつなげたいと考えています。
その後、55歳や新卒向けにも順次広げていき、最終的には、主要なキャリアの節目にキャリアコンサルティングが当たり前に組み込まれている状態を実現することで、セルフ・キャリアドックが当社の標準的な仕組みとなることを目指しています。
一方で、既に実施した30歳の社員への取組を振り返ると、一度の面談で終わらせず、次の取組をどう設計するかが今後の課題だと感じています。そこで、今回キャリア面談を実施した30歳の社員に対して、実施後の状況とキャリアコンサルタントによるフォロー面談の希望をメールで聞き取りました。キャリア面談の希望者には本人が望むタイミングでキャリア面談を行い、他の社員に対しても状況を伺うメール等で接点を持ち続け、次に実施する予定の40歳向け研修まで継続的に支援していきます。さらに、具体的な方法は模索中ですが、年齢層別の合同研修や、年に1回社員に体調や介護の心配の有無等を伺う自己申告書や社員ヒアリングといった機会を活用するなど、行動変容を支える支援策や、人事総務部としてのフォローのあり方を整理していきたいと考えています。
社員がやりがいを持って働き、「モリタに入社してよかった」と思えるように、これからも社員のキャリア形成支援に取り組み続けていきます。
