社会福祉法人大洲育成園

セルフ・キャリアドックの導入で、職員の意識改革と組織風土に改善を促し、より働きがいのある職場へ

社会福祉法人大洲育成園

活用テーマセルフ・キャリアドック

所在地愛媛県大洲市市木1215番地

業種医療、福祉

設立昭和47年7月

従業員71名

試行導入の経緯

新入職員へのキャリア形成支援の実施から、管理職層への実施の必要性を痛感

 当法人は知的障害者を対象とした福祉サービス事業を展開しています。当法人において最も重視しているのは、利用者だけではなく、職員も含めて「人」を大切にすることです。「人材は宝」と捉え、福利厚生の充実など、職員一人ひとりが働きやすい環境づくりを進めてきました。

 しかし、若手職員からは「古い組織風土になじめない。」、「相談できる先輩がいない。」といった声が上がっており、若手が本音や将来への不安を相談しづらい状況が生じていました。その背景には、若手職員を指導する管理職の世代が、自身が育ってきた時代の価値観で若手に接してしまうことがあると考えられました。

 当法人ではこれまでも、人事考課制度に基づき、入職1年目の職員に対して、年間5回の面談を行い、若手の意見の把握に努めてきたものの、上司による面談は「評価面談」としての色合いが強く、キャリアに関する悩みや将来像を十分に引き出すには限界がありました。 

 こうした中で、若年者地域連携事業の合同企業説明会への参加を通じてキャリア形成・リスキリング推進事業のことを知りました。従来の上司による面談は若手職員のキャリアに関する検討を深める機会としては機能していなかったところ、キャリアコンサルタントという第三者を活用することで、若手職員が自分自身を客観的に見つめ直し、今後のキャリア形成について新たな気づきを得られるのではないかと考え、愛媛キャリア形成・リスキリング支援センターに対し、新入職員を対象としたキャリアセミナーとキャリアコンサルティングの実施を依頼しました。

 その結果、新入職員からは「自分の強みを知ることができ、今後の目標を考えられた。」などの前向きな感想が寄せられました。また、自身のキャリアや人生を振り返り、自分の強みに加え、自身の「ありたい姿」に気づくという経験をすることで、これまで以上に施設利用者のことをよく見るようになり、小さな変化にも気づけるようになりました。このように、取組後には施設利用者の変化に気づいて自発的に行動する姿が見られるなど、業務面にも良い変化が表れました。

 さらに、若手職員のこのような前向きな変化も含め、取組の様子を見ていた経営陣からは、「この取組を一過性のものとせず組織全体へ広げていくためには、管理職もキャリアを振り返る機会を持つことでキャリア自律の必要性を理解し、そのうえで、部下をはじめとした職員に対する管理職の関わり方を、キャリア形成を支援できる関わり方へと変えていく必要がある。」との認識が示されました。そのため、当法人はセルフ・キャリアドックの導入支援を受けることに決めました。

取組内容と効果

キャリアコンサルティングの実施で、本質的な課題が浮き彫りに

 管理職・リーダー層に対し、セルフ・キャリアドックの導入ガイダンスセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。

 セミナーでは、急速に変化する社会に対応するため、会社が従業員の自律的なキャリア形成や能力開発を支援する必要性が高まっていることについて説明を受けました。その具体的な支援方法として、ジョブ・カードを活用した自己理解ワークに取り組み、ライフラインチャートを用いたキャリアの振り返りの内容を発表しました。発表後には、発表者の価値観や強みを引き出す質問を行うグループワークを実施し、自己理解を深めました。その後、セミナーで作成したジョブ・カードを基にキャリアコンサルティングを受けました。

 実施後のアンケートでは、参加した管理職・リーダー層全員から、「自身のキャリアを振り返り、将来について考えることができるため、ジョブ・カードを今後も活用したい。」、「自分の考えに客観的なアドバイスをもらい、行動への後押しをしてもらえるため、キャリアコンサルティングを定期的に受けたい。」といった肯定的な回答が得られました。また、「キャリアコンサルタントの傾聴の姿勢が勉強になった。」という声もありました。事務長である私自身も、この取組の後、傾聴のスキルを高める勉強や、キャリアコンサルタントの資格取得に向けた勉強を始めました。

 キャリアコンサルティングを受けることにより、管理職層がキャリアを自ら考えることの重要性を理解することができ、部下に対する自らの関わり方を見直すきっかけにもなりました。特に、若手職員との世代間ギャップを埋めるためには、これまでの価値観や経験則に基づいた接し方を見直し、自分たちが変わらなければならないと気づきました。取組以降、月1回の係長会議では、繰り返し「傾聴の大切さ」や「トップメッセージの伝え方」など、部下とのコミュニケーションに関するテーマが継続的に取り上げられ、「部下に一方的に指示するのではなく、寄り添い方や支え方など、適切な接し方を見直したい。」という発言も聞かれるようになりました。これまで若手職員から「組織風土が古い。」、「相談しにくい。」という声が挙がっていた背景に、管理職層が、自身の時代の価値観に基づいて部下に接していたこともあったと考えられますが、今回の取組により管理職が関わり方を見直し始めたことで、若手職員にとって働きやすい環境づくりにつながっていると感じています。

 職員同士の対話が増えることで、さらに職場の課題にも気づきやすくなり、改善提案やチームへの貢献意識が高まる、という好循環が生まれていると感じています。こうした変化が、組織全体の活性化にもつながっています。

今後の取組

面談の中でもキャリア支援を開始。職員の主体性を育む仕組みを整えたい

 今回の導入支援の実施後、従業員が主体的にキャリアを考えられるよう、これまで「業務の評価」に偏りがちであった面談の中で、キャリアに関する個々の目標設定や進捗確認を行うようになり、職員のキャリア自律を支援する取組が進んでいます。今後は、キャリアコンサルタント資格の取得を目指す職員への支援も行い、法人内におけるキャリア相談機能を一層強化していきたいと考えています。

 また、組織として職員の主体性を育む仕組みづくりにも取り組んでいます。具体的には、職場環境の課題把握や分析を行い、その結果を人材育成計画に反映するため研修の整備を進めています。さらに、現場で迅速な判断ができるよう、各事業所の管理監督職員が自律的に意思決定できる体制づくりにも着手しています。現場の職員の改善提案が反映され、管理職が現場の視点を踏まえて意思決定する仕組みが整えば、「自身が組織のために今できることを考えよう。」という職員一人ひとりの主体性が高まり、組織として同じ方向を向いて成長していくことに繋がると考えています。

 これらの施策は一度に完成させるのではなく、段階的に実施し改善を重ねることで、より実効性の高い仕組みへと育てていく予定です。こうした取組を通じて、従業員一人ひとりが自律的にキャリアを形成し、成長し続ける組織を目指してまいります。

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