株式会社フレンド商会

キャリア形成支援で店長層の学びと挑戦を後押し

株式会社フレンド商会

活用テーマジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング

所在地広島県広島市中区袋町6番53号

業種飲食サービス業

設立昭和38年

従業員320名

導入の経緯

お客様第一で走ってきた店長層に、自分のキャリアを見つめる機会を

 当社はアミューズメント事業と飲食事業を軸に「広島のワクワクを生み出す」を企業理念として掲げ、店舗づくりをしてきました。特に飲食事業は「人が価値を生む」という考えのもと、接客研修や調理講習、社内外のコンテストへの参加など人材育成に積極的に取り組んできました。

 昨今、物価や人件費などのコストが上昇し、飲食事業は利益を確保しにくい状況が続いています。そうした中で事業を継続し、お客様に選ばれる店舗であり続けるためには、「安さ」で勝負するのではなく、「質の高い接客や価値あるサービス」を提供していくことが必要であり、そうした価値を生み出す人材の育成が一層重要になっています。特に、現場を牽引する店長層が、自身のキャリアや将来像を長期的な視点で捉えて「価値を生み出す人材」を目指し、またそうした部下の育成にも取り組むことが、組織全体の価値向上につながると考えるようになりました。

 一方、会社としては、従業員に自身のキャリアや将来像を考える機会を十分に提供できておらず、また、お客様第一で現場運営を主導する店長層は多忙を極めており、特にそうした機会を持ちにくいのではないかと感じていました。

 キャリア意識を高める取組の必要性を強く感じながらも、具体的な方策が見えずにいた時に、キャリア形成・リスキリング推進事業の紹介を受けました。キャリアセミナーとキャリアコンサルティングは、従業員が自己理解を深め、それを基に自身のやるべきことや将来像を考える機会になると考えたため、支援を受けることにしました。

取組内容と効果

店長層へのキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを通じて、意識の変化が学びの一歩に

 飲食事業のリーダー層である、店長および店長候補を中心とした11名に、ジョブ・カードを活用してこれまでの振り返りを行うキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。

 セミナーでキャリアを振り返るなかで、特に重要だったのが「ライフサイクルの中で輝いていた時期と、そうでなかった時期」を具体的な出来事とともに洗い出すワークです。参加者は忙しい店舗運営の合間になかなか振り返ることのない過去の経験を思い起こし「なぜその時期は充実していたのか」「その時、どんな行動をしていたのか」を言葉にしていきました。普段は日・週単位で「目の前のお客様をいかに喜ばせるか」という視点に意識が向きがちな店長層にとって、自分の人生を振り返ることで、長い時間軸で自分のキャリアや成長を捉える視点を持つきっかけになりました。

 その後、ジョブ・カードを使い、自分が大切にしている価値観や得意なこと、苦手なこと、周囲から期待されている役割などを書き出し、グループで共有しました。自分は当たり前だと思ってやってきたことが、周りから見ると強みとして評価されていることに気づいた参加者もおり、他者の視点を通じて自分の良さを再確認する時間となりました。

 さらに、セミナーで作成したジョブ・カードを基に、キャリアコンサルティングを実施しました。参加者からは「キャリアを振り返ることで、自分にとっての課題が見えた」「自分の知らなかった考え方や行動を学び、今後のキャリアやライフプランを考えられるきっかけになった」といった感想がありました。経営者が同席しない第三者との面談だったことで、安心して自分の思いや今後のことを話すことができ、じっくり自分のキャリアに向き合うことができたようです。

 実施後、意識の変化が学びへの行動に表われました。当社は以前から接客や調理など複数の資格で受検費用を補助する制度がありましたが、ワインの専門家であるソムリエ資格のような、200~400時間の学習が必要とされる難易度の高い資格への挑戦は進みませんでした。それがキャリアコンサルティングの後、ソムリエ資格取得にチャレンジする従業員が複数出てきたのです。「自分の強みをつくりたい」「お客さまにもっと深い提案がしたい」とソムリエ資格に挑戦する従業員が複数現れたことは、「価値」で選ばれる店づくりに向けた大きな変化だと感じています。

 いくら制度があっても、本人にやる気がなければ動きません。一歩を踏み出せなかった従業員が自身のキャリアを考え、難関資格にチャレンジするようになったことは、今回の取組が学びに向かう姿勢を後押しした結果と考えています。

今後の取組

学びの連鎖を広げ、より付加価値の高いサービスを提供できる人材育成を推進

 今回の取組を通じて、資格取得を目指す従業員の学びの姿勢が周囲にも波及し、キャリア形成への関心が広がりをみせています。今後は、資格取得に挑戦する従業員同士が情報共有をしたり、経験者から助言を得たりできる場を設けるなど、学びを後押しする環境づくりを進めていく予定です。資格の取得そのものを目的とするのではなく、専門性を高める過程を通じて、より付加価値の高いサービスを提供できる人材の育成につなげていきたいと考えています。

 また、現在は外国人従業員の採用も積極的に進めており、正規雇用の従業員における外国人材の比率が高まりつつある中で、外国人従業員向けのキャリア形成支援も必要だと感じています。今回の取組から、職業人生を振り返り、自身の強みや方向性を整理するというプロセスは、外国人材の育成においても非常に有効であると感じ、キャリア形成セミナーの実施を検討しています。そして、将来的には管理的な役割を担う外国人材を輩出することも視野に入れ、支援のあり方を検討していく方針です。

 今回の取組を一過性のものに留めることなく、必要に応じて外部のキャリアコンサルタントの力も活用しながら、組織全体で従業員一人ひとりのキャリアの意識を高める取組へと発展させていきたいと考えています。

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