三重テレビ放送株式会社
個々の強みや価値観を探究し、地域に必要とされ続ける企業へ
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地三重県津市渋見町693-1
業種情報通信業
設立昭和43年3月
従業員76名
試行導入の経緯
社員の働きがい、モチベーション向上に向けて
当社は、全国に13局ある独立放送局のひとつで、首都圏のテレビ局を中心としたネットワーク系列には属さず、地域に根差したオリジナル番組の制作・放送を行う正規社員数76名のテレビ局です。
業務内容は報道・制作・技術・営業・内勤など多岐にわたり、配属にあたっては現場の人員状況やスキルバランスを考慮してジョブローテーションを行い、多様な業務経験を通じた成長を期待してきました。
他方で、社員の約9割が番組制作を希望して入社している中、希望と異なる部署に配属され、制作現場に携われないまま業務を続けるケースも少なくなく、社員の中には働きがいを十分に感じられないという者も一定数見受けられました。また、現場で活躍してきた中堅社員がマネジメントを担う立場となって役割の変化に戸惑いを感じる例や、人員の余裕が少ない状況下で目の前の業務に追われて自身のキャリアや今後の働き方について考える時間を確保しにくいという実態についても把握していました。
こうした状況が続くことは、社員の仕事に対するモチベーションの低下だけでなく、パフォーマンスの低下にもつながる可能性が高くなることから、組織として危機感を抱くようになりました。そこで、多忙な中でも自身のキャリアや今後の働き方について考えることができるよう社員に自身のキャリアを主体的に見つめ直す機会を提供するとともに、社員が描く自身のキャリア形成の方向性を含めたキャリアの在り方に関する意向等を組織としても把握し、可能な限り人事施策に反映させる仕組みを構築する必要があると考えるようになりました。こうした中、三重キャリア形成・リスキリング支援センターよりセルフ・キャリアドックについて説明を受ける機会があり、当社の考えている課題への対応策としてセルフ・キャリアドックは活用できると考えたため、セルフ・キャリアドックの導入支援を受けることに決めました。
取組内容と効果
全社員を対象にキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施
これまでの経験から強みを見出す
当社では、若手社員を皮切りに、30代後半~40代半ばの中堅社員、最終的にはベテラン・管理職層まで、全社員を対象としてセミナーとキャリアコンサルティングを段階的に実施しました。特定の層だけでなく、社員全員が自身のキャリアを主体的に描けるようになることが、会社を持続的に発展させるうえで重要であると考えたためです。
セミナーでは年代ごとにテーマを設定した講義の後、ジョブ・カードを用いて自身のキャリアや人生を振り返るワークを行いました。
セミナー後に受けたキャリアコンサルティングでは、キャリアコンサルタントとの対話の中で「その点があなたの強みですよ。」といった客観的なフィードバックを受けたことで、初めて自分の強みを認識できたという社員もいました。
日々の多忙な業務に追われがちな社員にとって、各年代の課題に合致した内容のセミナーを受けたことに加え、ジョブ・カードを作成の上でキャリアコンサルティングを受けたことは、当社において自身が果たすべき役割や今後の働き方を長期的・俯瞰的に考える貴重な機会となったようです。また、「これまでは指示された仕事を漠然としていたが、将来ありたい自分の姿が明確になったので、それを見据えて主体的に働いていこう。」という前向きな気持ちの変化があったという声もありました。その結果、こうした一連の取組を通じて、社員は「組織や同僚のために、自分に何ができるのか」ということを主体的に考える中で、若手社員と中堅社員を交えた交流の場を作ることや1on1を効果的に実践するためのコーチング研修の企画を行うなど、実際の行動にも具体的な変化が見られるようになりました。
一方で、当社が企業として実感したのが本人のキャリア意向等を踏まえた人事異動やジョブローテーションの必要性です。今回の取組で見えた社員の意欲やキャリアに関する気づきを人事制度の設計や運用にどう結びつけるかが大きな課題として見えてきたことは今回の取組の効果であったと感じています。社員のキャリア自律を継続的に支援するには、社員のキャリア意向等を人事異動等に反映させる仕組みづくりが不可欠と感じ、新たな人事制度の設計に向けた具体的な検討を始めています。
今後の取組
地域に愛される企業になるために
~自分のキャリアをしっかりと見つめなおす
今後は、外部のキャリアコンサルタントの協力を得ながら社員がキャリアコンサルティングを定期的に受けられる機会を設けるほか、今回のセミナーで実施した、ジョブ・カードを用いて自身のキャリアや人生を振り返るワークを研修に取り入れることを検討しています。さらに、今回の導入支援では対象外だった非正規職員にも支援の範囲を広げたいと考えています。
また、当社では異動希望を含む「キャリア意向調査」をアンケート形式で実施しているものの、実際のところ、得られた情報を十分に生かし切れていませんでした。加えて、社員がキャリアについて上長と対話する機会も十分とは言えない状況でした。こうした状況を踏まえ、これまでは仕事のパフォーマンス評価や目標管理が中心であった部署ごとの上長と部下の面談を、今後は本人のキャリア意向や強みを踏まえた対話の場にアップデートしていく方針です。この実現に向けては、管理職層への教育も必要であり、部下のキャリア支援に必要な視点や面談スキルの向上をテーマとした研修等の実施を検討しています。さらに、キャリア意向調査の結果に加え、上長と部下の面談で得られた本人のキャリア意向等に関する情報についても参考とし、人事異動やジョブローテーションの検討に積極的に生かす仕組みを作りたいと考えています。
社員と経営層をつなぐ人事部門としては、今回の取組を一過性で終わらせず、日常的な面談や人事施策として根付かせていくことが重要であると考えています。忙しい現場だからこそ、社員一人ひとりが自分のキャリアを主体的に描けるよう支援し、その力が、当社がこれからも地域に必要とされる局であり続けることにつながるよう、セルフ・キャリアドックの取組を継続していきたいと思っています。
