一般財団法人 札幌市スポーツ協会
職務制度の変更をきっかけに、職員が最大限の力を発揮できるキャリア形成を推進
活用テーマジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング
所在地北海道札幌市中央区中島公園1番5号 札幌市中島体育センター内
業種非営利法人
設立昭和59年4月
従業員820名
導入の経緯
個人の主体的な成長で組織力の向上を目指す
札幌市スポーツ協会は、市内の体育館やプールなど32施設の公共スポーツ・健康づくり施設の管理運営や各種大会・教室の開催を通じて、スポーツの普及・振興を行っており、正職員からパートタイム職員まで合わせて約820名が勤務しています。
施設運営の現場では、専門的な技能・ノウハウが求められる業務が多い一方、3〜4年ごとの部署異動や有期契約職員の退職、若い世代の定着率の低下などにより、専門的な技能の蓄積・継承が課題となっていました。
このため、令和4年から職務体制の見直しを進め、正職員の体制を、組織全体の総合的な職責や事務・管理を担う「総合職員(運営・専門)」と、野球場やスケート場の整備、運動指導、水泳指導などの専門的な知識・技術・技能に特化した「職務限定職員(5種類)」に分化し、「専門分野ごとに育成する」体制づくりを進めました。さらに、「職務限定職員」から上位の「総合職員」へ転任できる制度も新設しました。
この新しい職務体制の確立により、「仕事のやりがい」や「自己成長」を重視する意識の高まりが見られるようになり、「キャリアアップしたい」と意欲を持つ職員が増えてきました。一方で、本人の希望を上司や人事が把握し、それを踏まえた学習機会の確保や、学びを通じて得た知識を活かせる人事配置、さらには希望するキャリアを実現できる育成の仕組みが、モチベーションの維持や職員の定着に不可欠であると認識するようになりました。
特に今後、優秀な人材を継続して確保していくためには、各職種に必要な知識や能力を明確化し、それらの向上を図るとともに、職員一人ひとりが最大限の能力を発揮できるよう支援する体制づくりが必要であると考えました。
そこで、令和6年4月に「人材育成基本方針」を策定し、目指す職員像や求められる能力を明確化するとともに、人材育成の方策を整理しました。あわせて、職員がライフステージの変化も見据えながら主体的にキャリアを考え、自己実現を目指せるよう、キャリアモデルの提示やキャリア相談体制の整備を進めることとしました。
そのような中、キャリア形成・リスキリング支援センターの職員の方の訪問を受け、「キャリア形成・リスキリング推進事業」を知りました。この事業は、自身のスキルや経験を整理し、将来のキャリアを主体的に考えることで、職員個々の成長と組織力の向上を図るというものであり、当協会の方向性と合致することから、導入を決めました。
取組内容と効果
キャリアコンサルティングでキャリア形成に対する主体性が生まれ、昇任試験に対する積極性も
令和7年6月と10月に、若手(15名)と中堅(24名)の総合職員を対象として、それぞれの層に応じたテーマでキャリアデザインセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。
実施にあたっては、自身のキャリアについて深く考える機会が少ない職員も多く、ジョブ・カードの作成やキャリアコンサルティングに対して戸惑いが見られました。そのため、制度の趣旨や目的を丁寧に説明するとともに、過度に緊張している職員に対しては「評価や人事に直結するものではない」ことを伝え、心理的なハードルを下げるよう配慮しました。
入社2~5年目の若手職員に対しては、仕事の目的意識や今後のキャリアの方向性を見つける機会として実施しました。仕事とプライベート双方の充足感、心身の健康、組織と個人の良好な関係が保たれる「持続可能なキャリア」を歩むためには自身の価値観や強みに気づく必要があることを学び、ジョブ・カードを活用した自己理解のワークを行いました。
入社6~14年目の中堅職員に対しては、今後協会を担っていく存在として活躍することを見据え、「『働きやすさ』をプロデュースできるリーダーとは」をテーマに実施しました。そういったリーダーになるためには、主体的なキャリアデザインにより自身のモチベーションを高く保つ必要があることを学び、ジョブ・カードを活用してこれまでの経験の棚卸と今後の目標を書き出しました。セミナー後、作成したジョブ・カードを基にキャリアコンサルティングを実施しました。
今回の取組について、実施後のアンケートでは、若手社員からは「なんとなく働くのではなく、仕事をする上での目的・目標を改めて確認できた」中堅社員からは「ジョブ・カードを活用して現状をまとめることができ、今後のキャリアアップについて見つめ直すきっかけができた」といった声がありました。そして、ほぼ全員が「有益であった」「またキャリアコンサルティングを受けたい」と回答しました。
また、当協会では、30歳以上で一定の勤務経歴がある職員を対象に、年に1回、係長職への昇任試験を実施していますが、昇任に消極的で受験しない職員が一定数おりました。今回の取組により、キャリアの目標設定が明確になったことで、前年度は受験しなかったけれど今回は挑戦する職員が見られるなど、今回の取組の効果により、キャリア形成に対する主体性や、目標達成に向けた意欲が高まったと考えています。
今後の取組
職員へのキャリア形成支援を継続したい
本取組を経て、ジョブ・カードは自身の歩みを振り返り、目標を改めて見直すことができる、キャリアの記録にもなるツールであると実感しました。職員がこれを定期的に見直し、キャリアコンサルタントからアドバイスをもらうことで、自身の成長や能力開発を計画的に進めることに繋がるものと考えています。
今年度はこの後、2月に中堅社員の上の層(40代中心)に対するキャリアデザインセミナーとキャリアコンサルティングを予定しています。そして来年度以降も、今年度は対象としていない50代の総合職員や、職務限定職員に対するキャリアデザインセミナーとキャリアコンサルティングを実施する等、職員に対するキャリア形成支援を継続したいと考えています。
また、今回の取組によって、職員のモチベーション向上につながる仕組みの必要性やキャリアパスの透明化など、新たに取り組むべき課題も見えてきました。これらの課題を人材育成基本方針及び人材育成計画の中に位置付け、職員の主体的なキャリア形成とそれを支えることができる人事の仕組みを長期的に作りあげていく予定です。
今後もジョブ・カードを活用したキャリア形成支援を継続し、職員一人ひとりの主体的なキャリア形成と専門性の向上、そして組織全体の成長につなげていきたいと考えています。
