株式会社 安藤・間
育児中の社員にも自信をもってありたい姿の実現を目指して欲しい
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地東京都港区東新橋一丁目9番1号
業種建設業
設立平成15年10月
従業員3446名
試行導入の経緯
仕事と育児のバランスを踏まえた働き方を見出す機会の創出
総合建設業である当社は、大規模な建築事業や土木事業の設計や施工管理を主な業務としています。建設業界は従来、男性社員の比率が高い傾向にありますが、近年は女性社員が徐々に増加しており、当社でも女性社員比率は10年前の10%から、直近では15%まで上昇しています。
当社では、こうした状況を踏まえ、人事部を中心に出産・育児を支援する制度の整備を行うほか、産休前・復職前・復職後の面談を行うなど、仕事と家庭の両立を支援しています。また、社内横断的組織である「女性活躍推進小委員会」が中心となって、働きやすい環境づくりについて検討し、各部門に活動を広げています。
しかし産休・育休を経て復職し、子育てとの両立をしている社員の中には、「自身の専門知識を生かして技術職としての活躍を目指したい」「現場所長を目指して施工管理のキャリアを積みたい」等の希望があっても、「100%の力でできないのであれば希望を言わない方がいいのではないか」「周りに迷惑をかけるのではないか」と考え、希望するキャリアを言えないまま働いているケースが見られ、課題として認識していました。
当社としては、仕事と育児との両立をしている社員にも、希望するキャリアを諦めることなく働いてもらいたいと思っており、それが会社としての成長にも資すると考えています。そのためにはまず、キャリアの棚卸しによって自身のスキルや価値観を言語化することで、今の自分にできることや仕事と育児のバランスを踏まえた働き方を客観的に見出す機会を持つことが必要だと考えました。
そんな中、キャリアコンサルタントの資格を持つ社員が「キャリアの棚卸しには、セルフ・キャリアドックの導入が効果的ではないか」と考えて調べたところ、東京キャリア形成・リスキリング支援センターの実施しているセルフ・キャリアドックの導入支援を受けられることを知り、組織として支援を依頼することにしました。
取組内容と効果
キャリアコンサルティングでありたい姿を再確認
実現に向けての後押しとなる
令和6年12月に、まずは女性活躍推進小委員会のメンバー11名がセルフ・キャリアドックの導入を検討するため、東京キャリア形成・リスキリング支援センターにキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施してもらいました。参加者には各部門の男性部長も含まれていたため、復職する社員を受け入れる上司の立場からも、キャリアコンサルティングの有効性を確認してもらうことができました。その結果、自身のスキルや価値観の言語化には、キャリアセミナーとキャリアコンサルティングを受けることが有効であることを確信したため、次の段階に進み、2か月後に、10歳以下のお子さんがいる女性社員39名を対象に、セルフ・キャリアドックの導入ガイダンスセミナーとキャリアコンサルティングを行いました。
実施にあたっては、支援センターの担当者と、当社が解決を目指す課題について綿密な相談をすることができたため、セミナーでは、家族のあり方の変化や共働き家庭の割合など、受講者の状況に寄り添った内容を取り上げていただきました。また、当社の課題に応じて「今日の時点での『ありたい自分』を考え、語れるようになる」という目標も掲げていただきました。さらに、セミナーではライフラインチャートやジョブ・カードを活用して経験やスキルを振り返り、グループワークで発表することで、自身の価値観や強みを見つめ直す機会にもなりました。参加者からは「今の自分の状況、将来像を改めて考える良い機会になった。」との声が寄せられました。
セミナー後に実施したキャリアコンサルティングでは、自身の能力の整理や第三者からの助言により、「認識していなかった自分の気持ちに気づいた。」「自分の仕事に自信が持てた。」との声が聞かれました。また、「上司との面談では本当の自分の気持ちを伝えても良いのだとわかった。」といった声も聞くことができました。
当社では従来から年に数回の上司との面談を行っていますが、キャリアセミナーとキャリアコンサルティングの後、この面談の場での社員の発言内容に変化が見られました。具体的には、「これまでは諦めていたが、今後のキャリアを考えるにあたって本当はやりたい仕事について、上司にはっきり伝えることができた。」「『ここまではできるが、ここから先は難しい。』と、自分の意見を言えるようになった。」との報告がありました。また、女性社員が自身のありたい姿やキャリアについて意見を伝えられるようになったことで、上司も、部下のそれぞれの状況や希望を理解して仕事の割り振りができるようになりました。
また、これまでは育休復帰後の設計部の女性社員が設計業務のメイン担当に復帰するまでに時間を要することが多かったのですが、キャリアコンサルティング実施後に、自ら上司へメイン担当を務めたいという希望を伝えることができ、その結果、メイン担当として復帰することが叶った事例も生まれています。
さらに、もともとは昇格に後ろ向きだったある育児中の女性社員が、セルフ・キャリアドックをきっかけに、昇格試験を受験したという事例もありました。当社では管理職に占める女性比率が3.5%程度であり、女性社員にも現場の所長や管理職を目指してほしいと考えてきました。そうした中でこのような変化が見られたことは、今回の取組の大きな成果であると考えています。
今後の取組
段階的な対象拡大により、全社的な取組へ
今回は、10歳以下のお子さんのいる女性社員に限定して希望者を募り、少人数を対象に実施しましたが、今回の取組を通じて、自律的なキャリア形成への支援は、女性社員に限らず、全社的に必要だという意識が高まっています。
女性活躍推進小委員会のメンバーである男性部長からは、「自分も今回の取組でキャリア形成についての理解が深まった。女性社員だけでなく男性社員、特に若手社員を対象とするといいのではないか」という意見が出ています。こうした声を踏まえ、今後は段階的に対象範囲を拡大していくことが期待されます。まずは女性活躍推進小委員会の職掌として女性社員を中心として対象を広げていきたいと考えています。その後、男女を問わず若手社員、さらには全社員へと広げていくことができれば、社員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に考える文化の醸成につながると考えています。
今後も、外部のキャリアコンサルタントによる第三者の視点と、社内の働き方や人材育成に詳しい担当者の視点を組み合わせながら、キャリア形成についての意識を全社的に高めていきたいと考えています。
