株式会社 井上組

階層別キャリアセミナーの実施で社員の成長意欲を促し、体系的な育成プランの策定へ

株式会社 井上組

活用テーマジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティング

所在地徳島県美馬郡つるぎ町半田字西久保342-3

業種建設業

設立昭和27年3月

従業員76名

ジョブ・カードを導入しようと思ったきっかけは何ですか?

社員が積極的に業務に取り組み、成長できる環境を整備したい

 当社は創業から約100年、公共土木工事を中心とした、地域に根差した建設事業者です。女性活躍推進や子育て支援、若者雇用促進、健康経営優良法人の認定を受けるなどの働きやすい職場環境の整備に早くから取り組んできました。こうした取組を進める中で、会社の目指すところや方針などを打ち出し、社員が積極的に取り組む環境の整備も目指していましたが、これらを共有していく中で、社員が自分の将来や役割など具体的に考え言葉にする機会がなかったことから、人材育成において大きな課題があると認識しました。

 これまでは現場担当者の裁量で行われるOJTが中心で、特に若手社員への育成は「見て覚える」スタイルが基本で、中堅層についても「見て覚える」スタイルで育ってきたことから大きな問題はないものの不十分な場合もありました。若手社員の主体性が育ちにくく、タスクが増えると指示を待ってしまい、仕事が滞る場面も見られました。また、若手自身が将来像を口にする姿もほとんど見られませんでした。

 中堅層は、教わるのではなく、覚えることで成長してきたことから、体系的な指導方法を学ぶ機会が十分ではなく、「どのように伝えればよいか悩む」という声もありました。また、管理職も現場で目配りすべきことが多いため、部下が何を考えているのか把握したり、部下に会社の方針を伝えたりする時間を確保しづらい状況もありました。

 そのような中で、キャリア形成・リスキリング支援センターから、ジョブ・カードを活用した階層別キャリアセミナーとキャリアコンサルティングの提案を受けました。自分の価値観や将来像を言語化し、整理することで、「自分はどうなりたいのか」「そのために今の職場でどのような役割を果たしたらよいのか」を明確にできると考え、本事業の導入を決めました。

ジョブ・カードをどのように活用しましたか?

階層別セミナーをキャリアと役割について考える機会に

 今回の取組は、本社勤務の現場を管理・監督する役割を担う若手(10名)、中堅(12名)、管理職(20名)の社員42名を対象に三階層に分けて実施しました。セミナーは、「自己理解を深めるキャリア・プランセミナー」として「ジョブ・カードは、自分の強みや最も大切にしていることは何か、今後どうなりたいかを整理するツールである」と説明し、ジョブ・カードを活用した自己理解のワークを行うことを基本として階層別に内容を変えて実施しました。その後、セミナーで作成したジョブ・カードを基にキャリアコンサルティングを行いました。

 若手向けセミナーは「信頼をつくる仕事術」をサブテーマに、自分の将来像と仕事への向き合い方を考える内容でした。自分は会社の顔である。自分の仕事が会社の評価につながるという意識を強く持ってもらい、主体的な行動を促す狙いがありました。セミナー終了後に若手社員からは、自分の仕事が会社の信頼につながることを実感し、「指示待ち」ではなく自ら考え行動する意識を持つようになるきっかけが得られたとの声がありました。

 中堅向けは「現場を動かす人から、現場を育てる人へ」をサブテーマとし、「見て覚える」スタイルから「教え育てる」スタイルへ転換すること、それが若手の育成や、会社のためだけではなく、自身のマネジメント力向上につながることを伝えました。セミナー終了後の中堅社員からは「意欲を引き出し、育てる対象である」若手社員に対する姿勢を見直す姿が見られ、「見て覚えるスタイル」を考え直すきっかけになったと感じています。管理職向けは「方針を語り、現場に根づかせるリーダー」をサブテーマに、自身のキャリア観をどう整理するか、部下のキャリア形成をどう支援するかを考える内容とし、管理職としての役割を認識して、単に業務指示を出すだけではなく、会社の方針を現場へ伝えマネジメントし、若手・中堅層の育成をすることを意識してもらいました。管理職からは「自分の部署だけではなく、視野を広くし全体像を把握する必要があると感じた」との声がありました。管理職として、経営層と現場の橋渡しを自覚し、〖会社の今後・マネジメントの役割・キャリアの支援〗など会社の現状を理解し、現代にあった改革を考えるスタート地点として捉え直す意識改革につながったと感じています。

導入前後を比較して、あなた自身や社員・組織にどんな効果がありましたか?

人材育成プランの策定と定期面談の導入により、社員の成長を継続的に支援

 今回の取組で、「キャリアの棚卸し」=「キャリアを描くこと」が、業務での主体性に繋がることを、社員一人ひとりが実感しました。これまでも日常のコミュニケーションの中で育成に取り組んできましたが、キャリアに焦点を当てた対話の機会は十分とはいえませんでした。今後は、既存の面談機会を活かしながら、上司や役員による1on1面談をキャリア形成の観点で整理し、段階的に充実させていきたいと考えています。 まずは若手社員を対象に試行的に始め、効果を見ながら対象を広げていく予定です。
 
 また、今回の取組を踏まえ計画的・段階的な人材育成プランの検討を新たに進めています。教える側のスキルを伸ばしていける仕組みとして、1年目、2年目、3年目、5年目といった段階ごとに「最低ここまでは教えておきたい内容」を体系的に整理・明文化し、若手に自ら教えるようになってきた中堅層にその内容を共有することを計画にしています。今後は、丁寧に教えることやマニュアル化・仕組化を組み合わせるなど、教育体制を共通化し、上下左右の連携・組織内の連携・縦横のネットワーク等、コミュニケーション不足の解消などにも注力していきます。これにより、どの現場に配属されても一定レベルの育成が保証され、中堅社員も後輩を教えやすくなり、成長の見える化にもつながると考えています。

 キャリアを振り返ることによる意識の変化が、日々の業務における主体的な判断や行動となって表れる。一人ひとりが自分の将来像を言葉にし、育成やマネジメンを通じてキャリアを積んでいける風土を少しずつであっても、着実にかたちにしていきたいと考えています。

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