たんぽぽ薬局株式会社

人材確保と定着促進を目指し、段階的にセルフ・キャリアドックを展開。キャリアを前向きに考え、安心して働き続けられる環境へ

たんぽぽ薬局株式会社

活用テーマセルフ・キャリアドック

所在地岐阜県岐阜市若宮町9丁目16番地 トーカイビル9階

業種卸売業、小売業

設立平成7年10月

従業員1495名

試行導入の経緯

キャリアの悩みを相談する場を作り、社員の働きがいを高めたい

 当社は、東海地域でトップクラスの店舗数を持つ調剤薬局を運営しています。近年、調剤薬局業界は、ドラッグストアの調剤併設店舗の増加等の影響により薬剤師や医療事務職などの人材獲得競争が一段と激しくなっています。当社においても人材確保の厳しさは年々増しており、入社1~3年目の若手の離職も課題となっていました。

 当社では以前から、研修制度や資格取得支援、育児支援制度など、社員が成長し、長く働き続けられる環境の整備に力を入れてきました。また、「働きがい向上委員会」を立ち上げ、従業員満足度の向上に向けた活動も4〜5年にわたり継続してきました。

 しかし、そうした従業員のキャリアアップを支援する制度はあっても、従業員が自身の強みや価値観を明確にし、将来像を描くという機会がありませんでした。そのため、従業員がその制度を主体的に活用してキャリアアップに結びつけることができていませんでした。

 また、従業員の不安や悩みに予防的に向き合う仕組みも、十分とは言えませんでした。業務や職場の人間関係などの悩みについて、メンタル不調が現れるなど問題が表面化してから個別に対応するケースが多く、「小さな違和感や悩みの段階で解決に向けた支援ができる仕組みが必要である。そのような環境を整備することが働きがいの向上や人材の定着・採用にも繋がる。」と課題意識を持っていました。

 そうした仕組みづくりを検討していたところ、岐阜キャリア形成・リスキリング支援センターの方より訪問があり、セルフ・キャリアドックについて説明を受ける機会がありました。当初は「キャリアコンサルティングを受けることで、かえって転職を考える社員が増えるのではないか。」という懸念もありましたが、複数回説明を受けるうちに、これは転職を促すものではなく、当社でのキャリアを主体的に描いていくことに資する取組であり、それと同時に、小さな違和感や悩みの段階でアプローチすることができる “予防的な支援”でもあると理解できました。

 このような経緯から、まずは令和6年8月に本社勤務や店舗勤務など、部署や役職が異なる社員8名を対象にキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。この8名は「働きがい向上委員会」のメンバーで、全社展開に先立って本取組の効果や社内へのなじみやすさを多面的に検証する役割を担ってもらいました。その結果、参加者それぞれが自己理解を深め、自身のキャリアの目標を明確にできたとの実感を得られたことから、当社としてセルフ・キャリアドックを社内全体へ広く展開する方針を固めました。

取組内容と効果

目指したい分野が明確になり、専門資格の取得に弾みをつける契機となった

 令和6年10月より、管理職層など83名を対象に、セルフ・キャリアドックの導入ガイダンスセミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。管理職層を対象とした理由は、管理職が本取組の重要性を理解することで、その後の全社展開をスムーズに進められると考えたためです。

 セミナーでは、「変化し続ける社会に対応するためには、一人ひとりが主体的にキャリアを考える必要がある。身体の健康を保つために定期的な健康診断が必要なように、主体的なキャリア意識を持つためには、自身の働き方や価値観等を定期的に見つめ直す必要がある。それにより課題を早期に発見し、必要な場合は早期に対応することが、働く意欲の維持・向上につながる。」と説明を受けました。そして、自身の価値観や興味関心、強みを明確にした上で、組織の在り方や担当業務との関係性を見出し、今後の自分のキャリアを考えることを目的に、ジョブ・カードを活用した振り返りワークを行いました。その後、セミナーで作成したジョブ・カードを基に、キャリアコンサルティングを実施しました。

 取組後のアンケート調査では、本取組について「大変有益・有益」という声が92%という結果でした。参加者からは「忘れかけていた自身の仕事に対する思いや目標を思い出すことができた。」、「改めて自分について考える機会になり、キャリアの方向性を明確にできた。」など前向きなコメントが多く寄せられ、自身の価値観やありたい姿への気づきを得られる機会となったことが分かりました。

 特に、薬剤師や医療事務職など専門性の高い職種においては、「自分の強みや関心を整理したことで、将来的に目指したい分野が明確になった。」との声が寄せられ、具体的な目標を持てるようになった社員が多く見られました。

 実際に、「この分野の資格を取りたい。」、「次はこうした社内研修を受けたい。」といった具体的な要望が増えるなど、学習意欲の高まりも見られました。

 また、部長・課長など管理職が最初に受講したことで、管理職の部下への関わり方が良くなるといった効果も見られました。従業員満足度調査では「上司に対する不満」の数値が明らかに低下するなど、マネジメント面での良い影響も表れています。こうした変化の背景には、管理職自身がキャリアコンサルティングを通じて自分のキャリアや業務を振り返る中で他者からの問いかけや傾聴の重要性を理解したことで、部下の話を丁寧に聴こうとする姿勢が高まったことがあると考えています。

 さらに、キャリアコンサルティングから見えた会社の課題や傾向、今後の対応策をレポートとしてフィードバックしてもらえたことで、働きがい向上のための施策に活用できると考えています。

今後の取組

全国161店舗へのキャリアセミナーとキャリアコンサルティングの実施を目指して

 今後は、本社内に留まらず、全社的にセルフ・キャリアドックを導入し、社内・外のキャリアコンサルタントによる定期的なキャリアコンサルティングの実施を目指しています。令和7年度には、本社への異動者および店舗のリーダー層17名を対象に実施しました。令和8年度以降は、全国161店舗で働く社員を対象として、セミナーおよびキャリアコンサルティングを順次実施していく予定です。

 一方で、全社員約1,500名に対して有効に取組を実施するためには、いくつかの課題も存在します。具体的には、キャリアコンサルティングの実施場所や実施者の確保、業務時間内に実施するための調整、取組を全社員に効率的かつ効果的に波及させるための方策について検討が必要です。これらの課題を整理したうえで、セルフ・キャリアドックの取組が途中で途切れることなく、継続的に運用される体制を構築していきたいと考えています。

 継続的な取組を支える工夫として、現在は、初年度のセミナーやキャリアコンサルティングで得たノウハウをもとに、社員が自分のペースでキャリア形成に取り組めるよう、ジョブ・カードの作成方法を解説した動画とマニュアルを整備し、社内サーバーに掲載しました。キャリアコンサルティングを受ける前に各自動画を視聴し、ジョブ・カードを作成した上でキャリアコンサルティングを個別に予約する流れを標準化しています。さらに、個人申込型であっても組織として状況が把握できるよう、面談後に回答してもらう社内アンケート(Webフォーム)を用意し、継続的に効果を確認できる仕組みも整備しています。

 セルフ・キャリアドックを通じて、社員一人ひとりが定期的に自分のキャリアを振り返り、強みや課題、これからの働き方を主体的に考えられる機会を提供し続けることが、働きがいの向上につながるだけでなく、人材の定着や採用にも寄与すると考えています。今後も取組を継続し、「キャリアについて話すこと」、「相談すること」が自然に行われる会社づくりを進めていきたいと考えています。

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