コーセル株式会社
定年後の働き方・生き方を考える機会として、セルフ・キャリアドックを活用
活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地富山県富山市上赤江町一丁目6番43号
業種製造業
設立昭和44年7月
従業員729名
試行導入の経緯
再雇用後の働き方を含めたセカンドキャリアを主体的に考え、自己決定するために
当社は、電子機器・電子機械器具の製造・販売を行うメーカーで、60歳以上の再雇用社員を含む多様な人材が活躍しています。今後予測される労働人口減少への対応および、従業員が長年培ってきた技術・知識の次世代への継承の観点から、令和7年5月に定年制度を改定し、従来の一律60歳定年から、60~65歳の間で選択できる制度へ変更しました。
制度変更にあたっては、事前に実施したアンケート結果を踏まえ、定年を60~65歳の間で選択可能とするほか、勤務時間数についても指定の範囲内で柔軟に選択できるようにするなど、各自のライフプランに応じた働き方を選択できる制度としました。しかし一方で、新定年制度に対する漠然とした不安や、自分に最適な選択ができるのかを懸念する声も、従業員から上がっていました。当社では、新入社員から50代前半までを対象としたキャリア研修は社内で実施していましたが、選択定年制度や自身のライフプランについてしっかりと検討すべき50代後半の社員に対しては、これまでキャリア研修を提供していませんでした。こうした課題への対応を組織として検討している中で、富山キャリア形成・リスキリング支援センターの普及推進員から「再雇用後の働き方を含めた自身のセカンドキャリアを考えられるようになるためには、従業員の主体的なキャリア形成を支援する取組であるセルフ・キャリアドックの導入が有効である。」と提案を受けたため、導入支援を受けることを決めました。
取組内容と効果
自分の経験や能力の整理の仕方を学び、理想や目標を具体化
当社では、58歳前後の従業員12名を対象として、セルフ・キャリアドックの導入セミナーとキャリアコンサルティングを実施しました。
セミナーでは、「自分を理解すればキャリア・プランが見えてくる」と題し、自律的なキャリア形成の考え方、定年後のライフプランの立て方、自身のキャリアや強みの棚卸しなどについて講義とグループワークを実施しました。棚卸し作業にはジョブ・カードを用い、自身の価値観や強み・弱みの整理に取り組みました。これまで「キャリア」という言葉に馴染みがなく、参加に消極的だった従業員からも「ジョブ・カードを用いることで自分の価値観や強みを可視化することができ、自身の今後の目標や、何をいつまでに行うかについて明確にすることができた。」という声や、「自身の強みを活かし弱みをカバーすることで、活き活きと働いていくイメージが持てた。」との声が聞かれました。また、グループワークでは、部署や役職などが異なる従業員同士が「どのようなことを会社や家族等の周囲から期待されているか。」、「自身の役割を果たすために、どのような強みや経験が活かせるか。」など、普段は話す機会の少ない内容について発表し合い、各自の考えを共有し合うことで、良い刺激になっている様子がうかがえました。
キャリアコンサルティングでは、セミナーで作成したジョブ・カードを活用し、キャリアコンサルタントと自身のキャリアや今後の働き方について話しました。従業員からは「定年後の働き方について考える良いきっかけになった。」、「60歳以後の働き方を見据えた自分が今すべきことについて、後押しをしてもらえた。」といった声があり、新定年制度における選択を含め、セカンドキャリアの検討に向けた整理が進んだ様子が確認できました。
導入セミナーとキャリアコンサルティングの実施後には、人事労務課に対して、今回キャリアの棚卸しをし、自分の強みや能力が明確化されたことをきっかけに、再雇用後の副業の可否や、再雇用後の具体的な働き方について相談をする従業員の姿が見られています。このように、多くの従業員が60歳に向けた選択準備を積極的に進めようとする姿勢が生まれており、今回の取組の成果を実感しています。
今後の取組
キャリア形成支援を継続し、将来的には全従業員に
今回の取組は、50代後半の従業員に対してセカンドキャリア形成への意識を高めるうえで非常に効果的でした。そして、「キャリアを自分で決める」ことが、従業員のモチベーションを上げ、組織の活性化にもつながっていくことを実感したため、定年後を見据えた世代だけではなく、全世代に必要なことであると考えるようになりました。そのため、今後は、こうしたキャリアの棚卸しの機会を社内で制度化し、全従業員に「キャリアは定期的に振り返り、自らのキャリアは自分で作り上げていくもの」という意識を定着させることを目指しています。
まずは、今年度実施した58歳前後の従業員に対するキャリアセミナーとキャリアコンサルティングについて、来年度以降も継続実施をすることに決めました。その上で、将来的には対象を全従業員に展開し、自身のキャリアを主体的に考える社内風土となるように、内容をアップデートしていきたいと考えています。
また、キャリアや人生の状況、気持ちの変化が訪れるタイミングは、人それぞれで異なるため、年に1回の研修など特定の場だけでなく、従業員が必要と感じた時にキャリアについて相談・対話ができる環境を整えることが今後の目標です。これまでも上司が部下の話を聞き、主体的なキャリア形成を支援できるように、マネジメント層を対象に、部下のキャリア支援について理解を深め、必要なスキルを高めるための教育を実施してきましたが、さらに進めていきたいと考えています。
従業員一人ひとりがキャリア自律の必要性を理解し、主体的に自身の将来の選択を行えるよう、会社として今後も支援を続けていきたいと考えています。
