学校法人中日学園 中日美容専門学校
「自分の強みを活かせるサロン」への就職を目指して、学生だけでなく教員もジョブ・カードで自己理解を深める
活用テーマジョブ・カードを活用したセミナー
所在地愛知県名古屋市中村区名駅南四丁目11番地23号
業種学校法人
設立昭和32年4月
学生数学生数1,540名・職員数63名 ※令和6年5月1日現在
導入の経緯
学生が自分に合ったサロンを選び、納得して就職するために
本校は、美容師を目指す美容科、メイクやネイル、エステなどを学ぶトータルビューティー科で美容に関する基礎知識から、卒業後に美容室やサロンの即戦力となれる知識や技術を教えています。
美容業界では人材不足が深刻で、就職自体は比較的しやすいものの、離職率が高いという課題を抱えており、その原因は大きく2つあります。
1つは美容学校でのゴールが免許や資格取得になってしまい、免許などの取得に関係が薄いような技術を就職して一から学ぶことが、苦になっているのではないかと考えていました。そこで本校では、就職してからサロンの現場で必要とされる技術や仕事の流れを重点的に習得できる実践的な学びとなるよう、10年前から徐々にカリキュラムを変更してきました。
もう1つの原因は、就職先と自己理解のミスマッチと考えていました。自己理解が不足したまま就職し、その後「自分に合っていなかった」と辞めてしまうケースがあるという話を、美容の業界内でよく耳にしていました。特に、美容科の学生の主な就職先である美容室は、数が多いこともあり、自分に合った美容室を選ぶのは非常に難しいと感じていました。学生には、「ここで働きたい」と思える職場に就職してほしい。そのためには、就職活動を始める前に、自分の強みや価値観、やりたいことを理解し、自分の長所を言葉にする力をつけることが不可欠であると考えました。
こうした中で、自己理解を体系的に行えるツールとしてジョブ・カードを知りました。学生が自らの経験や価値観を振り返り、将来のキャリアについて考えるきっかけになると考え、昨年(令和6年)に、キャリア形成・リスキリング推進事業の支援を受け、美容科の1年生を対象にジョブ・カードを活用したセミナーを実施しました。
そこで学生の反応が良かったことから、令和7年度も継続して実施したいと考えました。また、学生のやりたいことや強みを引き出せるよう、教員にも、自己理解の仕方を実際に経験してほしい。そして、学生と効果的な面談をする力を高めてほしいと考えたため、今年は学生に対するキャリアセミナーとともに、就職指導などを担当する教員に対してもジョブ・カードを活用したキャリアセミナーとキャリアコンサルティングを実施することにしました。
取組内容と効果
教員自身がキャリアコンサルティングを体験することで、学生への就職支援が充実
就職指導などを担う教員8名には、「学生が自律的なキャリアの一歩を踏み出すために教員ができること」をテーマとしたジョブ・カードを活用したキャリアセミナーと、キャリアコンサルティングを実施しました。セミナーでは、「学生への個別支援の仕方や希望の引き出し方がわからない」など、就職指導における教員の悩みにフォーカスし、傾聴の仕方等を学びました。また、教員自らが自己理解を深め、自身のキャリアを自律的に考えることが、学生への就職指導にも活きるという説明を受け、ジョブ・カードを作成しました。
ジョブ・カードを活用してこれまでのキャリアや経験を振り返り、自分の気持ちが上がったり、下がったりするのはどんな時かの洗い出しを行い、自身の価値観や強みを可視化した上でキャリアコンサルティングに臨みました。
学生には、美容科1年生全員、約600名を対象に「就職活動にあたっての自己理解セミナー」を実施しました。就職活動だけではなく、将来「美容のプロとして指名される」ための第一歩となることも目指して、「自分を知り、自分の魅力を伝える力を育てよう」をテーマに行いました。セミナーでは、指名されるプロとして求められる姿勢や面接でのマナーのコツを学びながら、ジョブ・カードを活用して自分の個性や大事にしたい価値観を整理し、自己PRとして言語化していきました。
今回の取組を経て、教員からは「学生にキャリア形成の指導をしやすくなった」という声が聞かれました。自らジョブ・カードを活用した自己理解を行ったり、キャリアコンサルティングを受けたことで、学生への就職に向けた自己分析の指導の仕方がわかり、傾聴の姿勢や問いかけの仕方を学ぶ良い機会となったようです。また、「自分自身のキャリアを見直す良い機会になった」という声もあり、自身のキャリア形成にも前向きになったようです。
取組後、教員が学生を指導する様子を見ていると、以前より「なぜそう思ったの?」と問いかける場面が増えるなど、聞く姿勢が強くなったように感じています。相談しやすくなったからか、教員に就職の相談に来る学生も増え、やはり教員にも実施をしてよかったと感じています。
学生からは、「就職のときの履歴書作成、面接に役立つと思った」「自分がどんな人間か、客観的に見ることができた」といった感想が上がっていました。授業で作成したジョブ・カードは、その後の就職活動に活かされています。例えば、2年次の就職面談の際にジョブ・カードを持参し、自己分析の結果をもとに担当教員と就職先について具体的に相談する学生もいます。また、ジョブ・カードをもとに自己PRや志望動機を整理するなど、面接対策にも役立っています。
今後の取組
ジョブ・カードを作成した経験を、将来のキャリア形成に役立てほしい
美容科1年生を対象としたジョブ・カード作成のセミナーは、今後も毎年継続していく予定です。自己分析の方法を学生時代に身につけることは、就職活動時だけでなく、サロンで経験を積んだ後にキャリアを見直す場面や、将来的に独立を考える際にも役立つと考えています。
また、教員には、今回の経験を学生の就職指導に活かすとともに、自身のキャリアデザインにも役立ててほしいと考えています。本校では「教員の成長が学生の成長につながる」と考えています。今後も教員が常に学びをアップデートし、成長していけるように、今回のジョブ・カードを活用したセミナーとキャリアコンサルティングのような、時代に即した学びを得られる機会を継続的に提供していきたいと考えています。
本校が大切にしているのは、「学生の将来にとって何がベストか」という視点です。ジョブ・カードの活用についても、より効果的な方法を模索しながら、学生一人ひとりが「ここで働きたい」という気持ちを持ち、納得して卒業後のキャリアを選択できる支援を続けていきます。
