学校法人青葉学園 東京医療保健大学 医療保健学部看護学科
レディネスに応じた自己理解を可視化する:ジョブ・カード×グループワークによる看護学生キャリア形成セミナー
活用テーマジョブ・カードを活用したセミナー
所在地東京都品川区東五反田4-1-17
業種学校法人
設立平成17年4月
学生数学生数511名(看護学科合計)
導入の経緯
従来の就職支援の限界と新たな課題認識
本学看護学科ではこれまで、教員が臨床経験や専門領域の知見を生かし、学生の希望に応じて面接や書類作成の助言など、就職に向けた支援を行ってきました。4年生になると、専門分野の教員が中心となり、就職先の相談から卒業後までを見据えた継続的な支援体制を構築してきました。
しかし近年、病院採用試験の早期化や学業成績重視の傾向が強まるとともに、面接でストレス耐性を問われる場面が増加するなど、就職活動の環境は大きく変化しています。加えて、早期離職者の増加も目立ってきており、学生が十分な自己理解を伴わないまま就職先を選択しているのではないか、という懸念を感じていました。実際、学生の多くに、自己分析や自己肯定感の不足、志望動機の不明確さ、表現力の課題が見られます。結果として、将来を見据えたファーストキャリアを選択するための分析や検討が、十分に行えていない状況がありました。
さらに、個別に十分な時間をかけてタイムリーな支援を継続することの難しさや、教員と学生という既存の関係性の中で行う相談では、中立性や客観性を確保しにくい点も課題でした。こうした背景から、学生自身が自らの資質や強みを客観的に捉え、主体的にキャリア形成を考えられる仕組みが必要であるとの認識に至り、就職支援担当の教職員間で検討と情報収集を重ねました。
取組内容と効果
ジョブ・カードとグループワークによる自己理解の深化
キャリアコンサルタント資格取得中の職員の情報提供から有効性があると考え導入したのが、ジョブ・カードを活用したキャリア形成セミナーです。ジョブ・カードは、これまでの学びや経験、価値観、強み、今後取り組みたいことを整理することで自己理解を深められる有効なツールであり、WEBサイト「マイジョブ・カード」で作成・保存できる点も導入の決め手でした。
キャリア形成・リスキリング推進事業のキャリアコンサルタントと複数回の事前打ち合わせを行い、学年ごとのレディネス(成長段階・準備状況)に応じたコンテンツを設計しました。今回(令和7年4月に実施)は、2~4年生を対象とし、入学直後の1年生については、より効果的な時期を見極めた上での実施としています。当日は座席指定をせず、和やかな雰囲気の中でグループワークを中心に進行しました。日ごろからグループワークを多く取り入れている本学科の特性を生かし、学生同士の対話を通じて他者からのフィードバックを得ることで、自己理解を一層深める構成としました。講師のキャリアコンサルタントが自身のエピソードを交えながら説明したことも、学生にとって理解しやすく、内省を促す大きな要因となったと感じています。
4年生(参加者:63名)では、新卒で入職する意義やリアリティショック、仕事を通して得られる学びや乗り越える力について考える内容としました。これまでの経験を振り返りながら、仕事に生かせる強みを整理する時間となりました。就職活動の最中というタイミングから、当初は関心が薄い学生も見られましたが、ワークを進める中で就職活動を自分事として捉え直す姿が印象的でした。
3年生(同:102名)では、ジョブ・カードのライフラインチャートを用いて経験や体験を言語化し、自分らしさや強みを明確にしました。ガクチカで問われるポイントが社会人基礎力と看護実践能力であり、自己理解を深め、再現可能な能力を見つけて言語化することが重要であると理解できた点は、就職活動への意識向上につながったはずです。結果として、最も関心度の高い学年となりました。
2年生(同:68名)では、自己理解とは何かをテーマに、人生を振り返りながら強みを見つけ、グループで良い点やエピソードを共有しました。初期段階から内省を経験することの意義を実感できる内容となり、自己理解の基礎を築く機会となりました。
研修満足度は97~99%と非常に高く、自己理解を深めるセミナーとして学生にとって有意義な学びとなりました。ジョブ・カードの認知度は高くありませんでしたが、有益性への理解は大きく向上しています。今後も継続的に活用したいという意向が多く寄せられ、特に3年生での学習効果が高い傾向が見られました。レディネスに応じた設計の重要性を改めて実感しています。
今後の取組
ファーストキャリアの質を高めるために
卒業後のキャリアを充実させるためには、ファーストキャリアの質が極めて重要です。本学では、就職支援による「出口の質保証」の強化を今後も重視していきます。ジョブ・カードセミナーを単発の企画にとどめず、学年を通して継続的に活用する仕組みとして位置づけ、学生が自らの成長を可視化しながらキャリアを設計できる支援体制を構築していきたいと考えています。
さらに、外部のキャリアコンサルタントによる専門的かつ中立的な支援を組み合わせることで、教員による支援を補完し、学生が主体的に将来を選択できる環境を整えていく予定です。ジョブ・カードを通じた内省と対話の積み重ねが、学生一人ひとりの納得感ある進路選択につながり、看護職としての持続的なキャリア形成を支えることを期待しています。
