横河ソリューションサービス株式会社
まずはトップ層から!セルフ・キャリアドックで、役員・部長をはじめ組織全体のキャリア自律の風土醸成を図る

活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地東京都武蔵野市中町2-9-32
業種重電・産業用電気機器/ 情報処理/ 検査・整備・メンテナンス
事業概要制御・計測機器等の販売、保守サービス、電気計装工事、トータルソリューション展開及びエンジニアリング事業
設立平成25年4月1日
資本金30億円
従業員2,567名
試行導入の経緯
トップ層も含めた社員一人ひとりが自律的にキャリアを考える風土を作りたい
弊社では、2023年7月に「一人ひとりのキャリア実現(人づくり)」を中心に位置づけた人財戦略と、キャリアデザイン研修や上司と部下との1on1ミーティング、スキル管理などの目標管理制度といったキャリア形成に関する研修や制度を体系的に示した全体像を策定し活動を進めています。そこから見えた2点の課題を改善する目的で導入しました。1つ目の課題は、目標管理・キャリア支援制度の形骸化と認知不足により活用が不十分であること、そして2つ目は社員のキャリア形成を支援する側(上司)に対するサポートが不十分であることです。
この課題に対して、セミナーや研修といった座学だけでなく、一人ひとりに寄り添ったキャリアコンサルティング面談を実施することが効果的だと考えたことが決め手となりました。具体的には、弊社では2022年より”変わるなら、今!新時代のリーダーへ”と題し、全管理職に向けた研修プログラムを実施しており、このプログラムでは多様性を理解し、そのうえで一人ひとりに合わせた真の「対話」の重要性を学ぶ内容としていますが、キャリアコンサルティングはこの「対話」を管理職自身が体感するとても良い機会だと考えました。またそれを会社のトップ層に受けてもらい、キャリア自律に対する理解を深めてもらうことや、社員も受けるべきだという考えを持ってもらうことを期待し試行導入を活用したいと考えました。
取組内容と効果
社長・本部長・部長が必須の研修でキャリア自律と部下のキャリア支援の重要性を掴む
対象層は、社長・役員・部長層としました。選定理由は、キャリア自律の風土醸成のためには、まずはトップ層が自身のキャリアを考え、キャリア支援の必要性を理解することが重要と考えたからです。ガイダンスセミナーでは、今の時代のキャリアの考え方や、社員のキャリア形成における管理職の役割を説明したうえで、まずは社長・役員・部長が自分を主役にライフラインチャートを作成し、グループで共有するワークを実施いたしました。その後、キャリアコンサルティングを実施いたしました。
試行導入でガイダンスセミナー及びキャリアコンサルティングを受けた社員からは、「ただひたすらに数十年仕事をしてきて気が付いたら今になっていたが、これからは自分のキャリアを考えなければいけないと感じました。また、外部のキャリアコンサルタントと会話することで気付きがありました。」という声が挙がりました。役員・部長クラスの意識には、「キャリアは会社が与えるのではなく、社員が自ら選択するものであり、会社は社員のキャリア形成を支援していくものだ」といった認識が浸透し、社員の希望に耳を傾け、組織の状況と照らし合わせながら社員とのキャリアに関する面談を行っている管理職が増えました。上司がきちんと部下の目標管理・キャリア支援に向き合うことで、社内の目標管理・キャリア支援制度の認知向上につながっていると思います。
今後の取組
定期的・継続的にキャリアコンサルティングを受けられるスキームの確立と、上司と部下が一緒にキャリアを考える風土の醸成
試行導入後は、令和6年度上期に課長層に対してセルフ・キャリアドックを実施いたしました。ここまでは社員のキャリア形成における管理職の役割を理解することや、外部のキャリアコンサルタントとのキャリアコンサルティングを受け自身が感じたことをもとに、部下との面談の参考にして欲しいという考えで実施いたしました。研修とキャリアコンサルティングを一貫して実施できる企業を委託先として選定し、外部キャリアコンサルタントとの面談を受けられる体制を整えました。令和6年度下期以降は一般社員に対して、年代別や新任管理職など対象を定めながら実施していきたいと考えています。
業務で多忙な状況では、職位や技能、実績などの外的キャリアばかりに目を向けてしまうことが多いですが、セルフ・キャリアドックを機に、内的キャリアであるライフキャリアにも目を向けて、自分を主役に今後のキャリアプランを考えられるようになること、またキャリアプランをしっかり上司と部下で共有し、上司の支援のもと部下が自らのキャリアを歩める風土になるよう取り組んでいきたいと考えています。
本格導入による効果
セミナーとキャリアコンサルティングにより、キャリア自律の必要性を理解し自身のキャリア検討を前向きに捉えている社員が増加
今年からセルフ・キャリアドックの本格導入をすすめており、セミナーとキャリアコンサルティングを管理職層、新任マネージャー、一般社員へと段階的に行っています。今年の5月には課長層173名に対して実施しました。導入したばかりのため、社内全体への定量的な効果は社内で実施しているエンゲージメントや1on1に関するアンケートなどで、今後確認していきますが、社員からはキャリアを自律的に考える必要性を感じたという声がよく聞かれるため、自身のキャリア検討を前向きに捉えている土壌が出来上がってきたと感じています。
仕事面でも生活面でも変化の多い20代~30代、定年後も見据えた人生を考える50代など、社員が節目において自分の今後のキャリアを考えていけるような機会を継続して提供できるようキャリアの実現に向けた支援施策の検討をしていきます。