学校法人聖公会北海道学園苫小牧聖ルカ幼稚園

学校法人聖公会北海道学園苫小牧聖ルカ幼稚園

歴史ある幼稚園から認定こども園への移行に伴う課題の解決に向け、キャリア支援により意識改革
子どもも保育者も主体的に楽しみ、心優しい豊かな人間形成を目指す幼児施設を目指す

活用テーマ セルフ・キャリアドック

所在地 北海道苫小牧市

業種 教育

事業概要 幼稚園連携型認定こども園

設立 1959年

従業員 38人


貴社の人材育成ビジョン、育成方針を教えてください

・キリスト教の理念に基づく使命感と責任感をもつ保育者の育成
・時代のニーズに対応し、専門職として成長し続ける人材育成

<経営理念>
キリスト教精神を土台とし、すべての幼子が神様に愛されているかけがえのない尊い存在として大切にされる保育。子どもたち全ての個性を認め、保護者に寄り添い、共に育ち合うことを目標としています。
<人材育成方針>
子どもへの理解を深め、常に子どもを主体に据えながら、チームワークを強化推進。
互いの考えを受け止め合い、幼稚部と保育部それぞれが担う役割への理解と協働。
<求める人材像>
・組織の理念を理解し、相手と自分を大切にし、互いの意見を受け止め合える人材
・すべての子どもに寄り添い、平等に接し、子どもと共に歩むことができる人材

セルフ・キャリアドックの導入を検討した目的を教えてください

・キリスト教保育を基盤に幼稚園と保育園の枠を超えた人材の育成
・保育者一人ひとりの自己成長につながるキャリア支援の実現

<試行導入の経緯>
幼稚部と保育部では業務内容に違いがありますが、同じキリスト教保育を基盤として互いの立場や考えを理解し尊重し合える職場を目指しています。職員は、自分の今後のキャリアについて考える機会がないまま、目の前の仕事に追われて過ごしていました。組織の発展には、職員のキャリア形成や自身が属する組織を越えた広い視野が必要と考えていたところ、キャリア形成・学び直し支援センターよりセルフ・キャリアドックの提案を頂き、管理職自身がキャリア面談を体験したところ、自分のキャリアプランを前向きに捉えられ、他部門の仕事への理解も促進されたと実感ができたことから、まずは若手職員を対象とした導入を決めました。
<試行導入の目的>
・職員一人ひとりがキャリア意識を高め、自身の希望やキャリア目標を確認する
・組織の役割期待を理解し、当園で働く意義とモチベーション向上を図る

今回の試行導入で、どのようなことに取り組みましたか

・これからを担う若い層を中心にセルフ・キャリアドックを実施
・職員のキャリアプランの設定とその実現に向けた意欲向上を後押し

<具体的な取組(取組内容、対象者層など)>    
当園が好きで教員としてもどってきた卒園生もおり、保育に情熱をもつ向学心の高い職員が多いですが、保育園・幼稚園のどちらかの業務に固執する者など、一人ひとりの希望も違います。当園は認定こども園に移行し組織としての過渡期にあり、いずれは幼稚園と保育園で人事流動も可能になればと考えているため、保育士資格のみの職員には幼稚園教諭免許の取得を目指すことを推奨しています(幼稚園教諭免許取得者はほぼ既に保育士資格を取得済み)。今回の面談対象者は、試行的にこれからを担う入園5年未満の職員を中心に選出しました。キャリアコンサルタントには、園のビジョンや職員への役割期待を踏まえ、職員自身が今後のキャリア目標を具体的にイメージできるようきめ細かなフォローと働きかけを行うことを依頼しました。

取り組む上で工夫した点を教えてください

・オンラインでの丁寧な導入ガイダンス
・キャリア面談は心理的安心な場面設定を

<取り組む上で工夫したこと>
幼稚園と保育園では従業員の勤務時間に相違があるため、キャリア面談前の導入ガイダンスはオンラインで実施しました。全員がキャリア面談は初めてのため、講師には「主体的にキャリアを考えることの必要性」や 「キャリア面談の意義」「セルフ・キャリアドック」「ジョブ・カードの活用や作成方法」を充分に理解できるよう説明を依頼しました。また、キャリアコンサルタントには厳重な守秘義務があることを伝え、キャリア面談は管理職との面談では言えないことも安心して話せる場であることを伝えました。朝から夕方まで通して保育があるなか、幼稚部と保育部それぞれでなんとか勤務時間の調整を行いながら、面談は対面にて実施しました。

今回の試行導入で、どのような効果がありましたか

・組織としての優先的に取り組むべき課題が明確に
・職員一人ひとりの抱える課題の理解とキャリア意識の喚起

<セルフ・キャリアドックの効果>
管理職層はどんな思いにも耳を傾けるよう努めていますが、それでもなかなか口に出せない職員はいるようで、実施結果報告からは、部門間のコミュニケーション不足という組織としての課題のほか、「ベテラン職員に対して若手職員が意見を言いにくい」「産休育休から復職した職員が自身の育児と仕事の両立に悩んでいる」など、職員の本音が見えてきました。職員一人ひとりは、更なる学びへの意欲はあっても忙しさを口実に行動が起こせていない自分を認識できるようになったり、これまでの経験を振り返ることで自分の強みを再確認し自信を取り戻し、より志が高くなるなどの変化が見え、多くの職員にとって大変有意義な機会となりました。

今後取り組みたいことを教えてください

・全職員に対する定期的なキャリア面談の機会の提供
・より良い職場環境の構築と職員の専門性を高める学びの推奨

<セルフ・キャリアドックの企業内の定着に向けての取組>
今回は対象外だった職員からもキャリア面談を希望する声が出ています。面談体験者の感想をシェアし、この取り組みに対する理解を深めるとともに、未体験職員にもキャリア面談を含めたセルフ・キャリアドックを定期的に実施していきたいと考えています。
<今後の課題と展望> 
・職員間の密な情報共有、意見交流の活性化のための仕組みづくり
・定期的な階層別(職位・年齢別)のキャリア研修とキャリアコンサルティングの導入
・当園の理念の理解促進と、組織としての協働性を高める取り組み
・職員一人ひとりの専門性を高める教育機会の確保に向けた支援