NECネッツエスアイ株式会社
人材育成とキャリア自律支援の仕組みづくりを実現!社員が生き生きと働き続けられるよう、現場のマネージャーとキャリア相談室が連携してキャリア自律支援に取り組む

活用テーマセルフ・キャリアドック
所在地東京都港区芝浦3-9-14
業種情報通信業
事業概要ネットワークをコアとするICTシステムに関する企画・コンサルティングや設計・構築などの提供、および日本全国にわたるサポートサービス拠点による24時間365日対応の保守・運用、監視サービスならびにアウトソーシングサービスの提供
設立1953年11月26日
資本金131億22百万円
従業員7,774人(2024年3月31日現在)
試行導入の経緯
定年前社員に向けたキャリアデザイン支援を通してシニア社員がモチベーションを持って活き活きと活躍してほしい
弊社では、全社員向けに定期的にエンゲージメントサーベイを行っており、その中で「キャリア」に関連する項目は上位にランクインしており、「キャリア」は社員のニーズが高いテーマであると認識していました。
そこで、社員一人ひとりに対してキャリア支援を行えるように、2021年に「キャリア相談室」を立ち上げ、社内キャリアコンサルタント1名による個別相談を開始しました。その後、個別相談だけではなく、全社としてのキャリア形成支援の仕組み化を目指して、施策検討を進めていました。
2023年に、制度改定があり、一部改訂した定年後の再雇用制度について社員に周知したところ、給与面とその適用基準についての質問とともに、自身の今後のキャリアに対しての不安や組織への不満の声が上がりました。
再雇用後も社員がモチベーションを持って、生き生きと活躍してもらうにはどのような取り組みから始めたら良いか、また、シニア社員(60歳定年後に再雇用・雇用延長で働く社員)に限らず、社員一人ひとりに対してキャリア自律支援を行い、組織全体の仕組みを作るために何をしたら良いか、社内キャリアコンサルタントだけではノウハウが不十分で悩んでおりました。
一方で、シニア社員自身の今後のキャリアに対しての不安や組織への不満が顕在化されたことから、キャリアに向き合っていただくことが喫緊の課題でした。ちょうどその頃、他社のキャリアコンサルタント仲間から本事業を紹介いただきました。セルフ・キャリアドックの試行導入を、社内で最も影響力のあるシニア社員対象に実施することで、前述の課題を解決できるのではないかと考え、導入を決定しました。
試行導入を行うことについて、関係部門が多く、社内の理解を得られるまでに各部門への説明が必要でしたが、厚生労働省委託事業という信頼感や、他社の導入事例の提示により、多様な部門・立場の人と明確な協力関係を築く事ができ、試行実施まで繋げることができました。
本施策を機に、社内でキャリア自律支援活動の関係人口を増やすことで、キャリア施策の取り組み促進を期待し、導入を進めました。
取組内容と効果
ガイダンスセミナーで定年後のキャリアを意識し行動している方の大幅増加と価値観の変化
試行導入は、定年前社員(2024年3月期に58歳を迎える社員)を対象に、①定年後の雇用制度の改訂に伴う50代社員の不安の解消②人生100年時代を見据えた生涯現役の意識醸成の2点を目的として実施しました。
ガイダンスセミナーでは、冒頭、人事担当役員もしくは人事部長からシニア社員へメッセージを伝え、主旨説明を行いました。また、ジョブ・カードを活用し、参加者同士のワークショップを行いながら、自分自身の経験の棚卸しと、価値観、強みの言語化を行い自己理解を深めていただきました。
試行実施後3カ月目に、参加者への事後アンケートを行いました。導入前のアンケートでは「定年後キャリアを意識・行動化している」と回答した方は26%でしたが、事後アンケートでは70%になりました。実施前の関心事項は『会社からの金銭報酬』に関する声が中心でしたが、実施後は『自分の価値観に基づく生き方・働き方』が関心ごとの1位にあがりました。
実際に、自分の価値観・内的キャリアの探索に興味を持ち、家族・同僚・地域等の社会との繋がりや対話機会を増やすよう意識し、将来の組織・社会への価値提供に結びつけるために勉強や経験の棚卸しに力を入れようとしている社員が増えたなど、受講者の意識変化も感じています。社内での研修参加率も上がり、特にガイダンスセミナーでも取り上げたマネープランに関しての研修は満席になるほど人気でした。
また、組織としても、セルフ・キャリアドックの試行実施により、キャリア相談の仕組み化の実現イメージや効果を関係者全員で一気に共有することができ、大きな一歩を踏み出す事ができました。
今後の取組
キャリア自律支援活動の全社浸透
セルフ・キャリアドックを継続的に実施することで、日常業務(Must)を通じてできることが拡がり、それにより、自分の強み(Can)が拡大する、そこから自分のやりたいこと(Will)の探索に繋げていけるようキャリア形成を支援し、社員一人ひとりが、生き生きと輝ける環境づくりにつながることを期待しています。
そのためには、現場での人材育成が重要であり、特に社員の個々の成長を職場でどう実現していくかが大切だと感じております。
今後は、セルフ・キャリアドックを通して出てきた相談内容等に対して、守秘義務を前提として組織開発に生かすことも考えております。
本格導入
キャリア研修の方針検討・全体プログラムの再設計をスタート
2024年11月には、外部のキャリアコンサルタントを活用して、定年前社員(57歳社員)全員の総勢198名へのキャリア研修とキャリアコンサルティングを実施し、セルフ・キャリアドックの本格導入を実現しました。同時に、キャリア研修の在り方の再検討を行っており、「人生100年時代を見据えたライフキャリア」という観点で、自社の事業や従業員の特性を踏まえた全体方針の検討、ライフステージごとのトランジションモデルに基づくプログラム全体像を再設計したいと考えています。
本格導入を進めたばかりでもあるため、具体的な数的効果は出ておりませんが、今後もアンケート等を継続的に実施し、効果を図っていきたいと考えています。
また、今後はセルフ・キャリアドックを通して顕在化した社員の「感情」「課題」に向き合い、守秘義務を前提として「職場の活性化」に活かすことも考えております。そのために、3つの領域を定義して全体を俯瞰した上で、従業員のキャリア自律支援を推進していきます。1つ目は「心の支援を中心としたキャリアカウンセリング」。ここでの対象は不安・悩みを抱えた社員の支援・一歩の踏み出し支援が主体です。2つ目は「キャリア開発、キャリア形成を中心にしたキャリアアドバイジング」。ここでは「社員の元気・成長・キャリア充実を促すコーチング」が主体です。3つ目は「キャリア自律支援活動を組織視点で基盤づくりをしていくキャリアコンサルティング」。ここでは、組織(職場)活性化、人的資産の持続的な成長のための基盤づくりが主体となります。3つの領域から社員一人ひとりに対してキャリア自律支援を行い、社員の成長や成功を支援するピープルマネージャ―機能を担っていけるようなキャリア相談室を目指しています。